コラム「南風」 動物の歯の話

来週4月18日は「良い歯」の日なので、歯にちなんだ話をします。人の永久歯は32本ですが、犬は42本と多く、猫は30本です。生後6カ月前後で乳歯から永久歯に抜け換わります。
  肉食獣の犬や猫は犬歯が発達し、歯先はとがっていて、かみ合わせは肉を引きちぎるのに都合良い形状をしています。

草食獣の牛や馬は草をすりつぶしやすいよ うに臼型になっています。また牛やヤギには上顎の前歯(切歯と犬歯)がありません。代わりに、まな板のように硬くなった歯ぐき(歯床板)が発達し、長い草 はこの歯床板と下顎の前歯でかみ切られます。

 犬や猫の歯の色は人よりも白く、ハムスターは黄色に近い色をしています。同じ哺乳類でもこんなに違います。こういう学問を比較医学といいます。私は日本比較臨床医学会の評議員ですので、話題提供として人の医療関係者とこのような話をよくします。(笑)

 皆さんはペットの口臭でお困りではないでしょうか?ご自身の口臭を気にする人は多いのですが、ペットの口臭は仕方ないとあきらめていませんか?犬や猫の3歳以上の80%は歯周病を持っていると報告があります。
 歯垢(しこう)は、数時間で、歯石は数日で形成されます。歯磨きをしなければ、確実に歯石が蓄積するのです。ペットの唇をめくって見てください。白い歯 が見えなければそれは歯石です。
 歯周病は、心臓病や腎臓病の原因にもなります。近くの動物病院で歯石除去や歯周病の治療を受けて「息さわやか」になっては いかがでしょうか。

 ちなみに人医療では、医師と歯科医師は全く別の資格ですので、医師が歯科治療を行えませんし、歯科医師が内科や外科を行うことはできません。しかし、獣医師は人以外なら全ての動物の内科や外科、歯科治療も行えるのです。
(兼島孝(かねしまたかし)、琉球動物医療センター院長)琉球新報 2012年4月12日より

ヴァグリエ犬

ヴァグリエというお店で出会った犬ちゃん

動物の歯の話は、歯科保健指導の話題として、とっても面白いですね。

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