「口の健康」測定アプリ

発声回数で「かむ力」など判断

1秒間に何回発音したかなどを過去のデータと比較し、継続的に口腔機能をチェックできる

 介護施設で役立ててもらおうと、桐生市歯科医師会などが、口の中の健康状態を測定できるiPhone(アイフォーン)用ソフト「口から健康アプ リ」を開発した。特定の音の発声回数や波長を測定することで、咀嚼(そしゃく)能力や滑舌を確認する。3月にも無料ダウンロードを始め、全国的な普及を目 指す。

 国の地域医療再生基金事業の補助金を利用し、地元ソフトウエア会社と共同開発した。同医師会によると、これまでに同種のソフトはなかったという。アプリの愛称は「くちけん」だ。

 利用者はアイフォーンに向かって、「パ」「タ」「カ」「ラ」のいずれかの音を一定時間、連続して発音する。回数が多くて、発声感覚が安定している 人ほど、「食べ物をかむ力」や「滑舌よく話す能力」が優れている。具体的な点数表示はなく、過去の自分のデータと比較し、健康状態を確認する。

 同医師会によると、人が口を開けてから食べ物をのみ込むまでの舌の動きは、これらの音の発音時と酷似する。この測定手法自体は以前から用いられて いたが、計測者が発声者の発音回数を数える原始的な手法で、測定結果も不正確だった。専用の計測機器も開発されたが、高価なため、福祉現場では普及しな かったという。

 アプリの開発に携わった星野浩之・同医師会専務理事は、「持ち運びが容易でデータの保存もできる。結果をパソコンに取り組むことも可能だ」と利便性をアピール。「くちけん」の普及が、高齢者の介護予防につながることを期待している。

(2012年2月12日  読売新聞)
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