排尿トラブル予防には「舌」のトレーニングが効く!? 

10/11(木) 15:40配信

HARBOR BUSINESS Online

◆幅広い世代で「尿もれ」は密かな悩み

急に強い尿意が襲ってきて、トイレに間に合わない。終わった後にちょっと漏れる。夜中にトイレに行きたくなって目が覚めてしまう――。

そういった排尿にまつわるトラブルは、実は高齢者だけでなく、若い人も含め幅広い年代でみられるようだ。

排泄ケア用品メーカーの調査で40代以上3人に1人が「尿もれ(軽失禁)がある」とわかっていて、別の調査で尿もれ経験者に日常生活への影響を尋ねた結果、「長時間の外出が不安」と答えた人が30~50代の約4割、60~70代の約6割もいた。

家族にさえ相談しづらい問題で、とくに男性は誰にも相談できず、尿ケア専用のパッドなどを使うことにも抵抗があるようだ。データからは、ひとりで悩み、尿のトラブルをきっかけに健康に対する自信を失い、さまざまな活動から遠のいて、しょんぼりしてしまう人が少なくない様子がうかがえる。

女性の場合、友人同士で相談することや、排泄ケア用品の利用に抵抗は少ない(思春期から生理用品を使ってきて慣れているため)。とはいえ女性は尿道が短いという泌尿器の構造から男性よりも尿もれしやすく、妊娠・出産によって骨盤底筋群がダメージを受けやすいこともあり、排尿トラブルはとても身近な問題なようだ。

◆意外な部位の「筋トレ」が予防に効果的

しかし、排泄ケアに関わる専門家は、軽い尿もれなど加齢とともに起こる排尿トラブルは、人知れずこっそり、隙間時間を利用してできる筋トレなど、セルフケアによって改善する症状もあると話す。

書籍『尿トレ 誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消!」ブック』(方丈社刊)を最近上梓した理学療法士の児島満理奈さんは排尿トラブル予防・改善の筋トレとして、一般的にもよく知られる「骨盤底筋体操」を奨励するが、同時に意外な筋肉の筋トレも勧める。

それは「舌」。骨盤底筋群とつらなる内臓を守る体幹(インナーユニット)全体と、体幹とつながる筋肉「舌」が重要なトレーニングポイントだというのだ。

まず「骨盤底筋体操」について聞いた。

「骨盤底筋体操はとてもメジャーな体操で、私も訪問リハでよく紹介しています。インターネット上には動画などでもやり方がたくさん紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

体の深部の筋肉を鍛える地味な体操ですが、腹式呼吸をしながら体幹全体に力を入れるコツをつかめば、排尿トラブルはもちろんのこと、姿勢の改善やぽっこりお腹予防にもなる筋トレです。

『体幹全体に力を入れている状態』をイメージすると思わず、お腹周りに力を入れようとがんばってしまう方が多いのですが、力まず(腹式呼吸を続けながら)、リラックスして行うのがポイントです」(児島さん)

◆骨盤底筋体操の手順はこれ!

体幹(インナーユニット)とは、横隔膜・腹横筋・腰部多裂筋・骨盤底筋群のこと。

横隔膜は肺の下にあり、ドーム型の屋根のように体幹の上部を覆っている。腹から息を吸うと横隔膜は下がり、腹に圧をかける。

腹横筋は消化器系の臓器をガードするコルセットのような筋肉。腹巻き状にお腹を包んでいて、腹式呼吸では息を吸うときに伸びて、吐くときにゆっくり縮んでいく。

腰部多裂筋は背骨の分節を結んでいる細かい筋肉で、背骨の安定性を高めている。腹式呼吸すると腰部の多裂筋が横隔膜、腹横筋と連動して動く。

骨盤底筋群は、骨盤の底で内臓を支えている。いくつもの筋肉や靭帯、筋膜などで構成されていて、排泄のコントロールにこの筋群の作用が大きな役割を果たす。

骨盤底筋群だけを鍛えると思わず、このユニット全体を意識して体操するほうが、骨盤底筋群に適切に力を入れやすく、健康効果が高いことを覚えておこう。

また、鍛える筋肉がどこにあるか知り、動かしているイメージをもつことも大事だそうで、自分の腹・腰の中にある横隔膜・腹横筋・腰部多裂筋・骨盤底筋群を感じながら体操しよう。

全身の筋肉は何もしなければ20代をピークに徐々に衰え、さまざまなトラブルの原因になるが、筋トレはやればやっただけ身につき、筋肉を正しく動かせば副作用などもなく、全身の健康づくりにつながる。

児島さんに教わった骨盤底筋体操の手順は次の通り。

1.仰向けに寝て、膝を立て(立てた足は肩幅程度に広げる)、脱力する。

2.口を閉じて、一度鼻から息を吐く。

鼻から息を吸う(横隔膜が下がり、お腹がふくらむ)。

3.口を軽くすぼめ、細く、長く息を吐きながら、後半、腹横筋を引き締め、骨盤底筋群を引き上げるイメージで力を入れる(わずかにへそを凹ませるイメージで腹横筋を引き締め、尿をがまんするようなイメージで骨盤底筋群を引き上げるとよい)。

4.再度、鼻から息を吸いながら、3で腹や骨盤底筋群に入れた力を徐々にゆるめる。

5.3→4を繰り返す(5~10分)

この体操は起床時や就寝前に布団の上でできる。深呼吸しているようにも、精神統一しているようにも見える体操なので(実際、深い呼吸ができ、心が落ち着く)、こっそり尿トレできて目立たない。

◆侮れない「舌」の衰え

一方、少し意外な気もしたが、「舌」も重要なトレーニングポイントだという。

「まだあまり知られていないので、意外に感じるかもしれないですが『舌』の衰えは全身の筋力低下とつながることもわかっていて、『舌』は今、大変注目されている筋肉です。しかし現代では舌が衰えて下がり(低舌位)、口が開いていて、口呼吸をしている人が増えています。

一人の人の筋肉の衰えというのは、どこかだけ極端に衰えるとは考え難いので、『舌』が衰えている場合、つながる体幹が衰えている可能性は高いですし、その逆もいえます。

排泄のための骨盤底筋群(出口)とあわせて、飲食の入り口の筋肉である舌も同時に鍛えましょう」(児島さん)

2つのチェックと、舌の運動をやってみよう!

◆チェック1 口呼吸が習慣になっていないか

普段通り呼吸をしながら、ガラスのコップを口に当ててみよう。曇ってしまったら、口呼吸をしている可能性あり。

本来、鼻が呼吸器で、口は消化器。鼻の中は粘液が出ていて吸気をうるおし、鼻粘膜に生えている微細な線毛と粘液層が細菌やウイルスなどをとらえ、さらに吸い込んだ空気を温めて気道へ送ってくれる。「目的外使用」となる口呼吸は鼻呼吸に改めよう。

◆チェック2 舌が下がっていないか

舌が本来あるべき位置は、舌表面が口の上側にぴったりくっつき、顎が固定されている状態。舌先は上の前歯の根元、歯に触れない位置にある。

自分の舌が口の上側についているか、舌先が舌の前歯辺りに落ちていないか、確認を。舌が下がっていたら、正しい位置に戻そう。

◆舌の運動

歯磨きの後などに、舌を思いきり前に出し(あかんべー)、上下左右に動かす。

口の中で舌を回転させ、口の内側や頰の内側をまんべんなくなめる。

人生100年時代と呼ばれるようになって、排尿トラブルが起こってからも「人生は長い」。セルフケアとともに、超高齢社会に相まって進化している排泄ケア用品などの利用も含めて「前向き」な対処をすれば、いつまでも元気に、快適に人生を楽しむことができる!

●児島満理奈

理学療法士。訪問リハのかたわら、一般社団法人グッドネイバーズカンパニーのメンバーとして楽しくヘルスケアに取り組める「くちビルディング選手権」(食べる機能低下や社会的フレイル<虚弱>を防ぐスポーツイベント)などを開発、全国に広げる活動をしている。書籍『尿トレ 誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消!」ブック』(方丈社刊)で健康な排尿を続けるためのトレーニングを指南。

ハーバー・ビジネス・オンライン より

舌の体操用の顎模型と舌の手作り媒体です。

舌は毛糸で編んでおり、手を入れて動かしています。

ピンクや赤いソックスでもいいですよね。

高齢者だけではなく、子どもたちにも人気です。

介護予防教室で患者さんと、共に行っている、健口体操って全身の健康体操であり、
尿漏れ予防体操、健幸体操ですね。歯科衛生士は、何かとお得!!いえ、口福<笑>

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