口腔ケアの威力

多度津の病院に入院している患者さんを訪問しています。
<2011年7月31日のブログ>
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死で、骨露出、排膿、出血、皮膚ろう孔を形成しています。6月から、土曜の昼食後に訪問していました。
しかし、口腔内状態は一進一退・・・・
全身状態の方もかんばしくない。
毎晩39℃近い発熱があり、座薬を使って寝ているということでした。

土曜の午後に口腔ケアをしても、5時過ぎに夕食を召し上がると
口腔内が奇麗なのは数時間です。
眠っている間、口腔内はバイ菌の巣と化するわけですから・・・
口腔内状態がよくならないのは当たり前。
<こういうことをナイチンゲールは、神の法則、神の恵みと言っています!>

毎日ケアできればいいのですが、私の訪問は週1回なのです。
そこで、日曜は病院の看護が手薄になるので、
土曜の夕食後、DHによる口腔ケアを実施するのが一番いいだろうと思い
毎週末の18:00からお邪魔しています。

その結果、わずかに傷の状態がよくなったように感じます。
しかし、全身状態も相変わらずで、いつも顎の瘻孔を保冷剤で冷やしていらっしゃいます。
排膿のため、口臭もあります。
訪問してもよくならないのが、訪問の辛さです。
時には、出血のため血餅が吐き出されることもあります。
口腔ケアでは苦痛を強いることになりますから、悪化すると本当に辛い・・・

<ナイチンゲールは、神の法則、神の恵みを読み取り、
どうするか考え実践すことが、宗教的人間の在り方であると述べています。>

ここで神頼みをするのは、宗教じゃないともナイチンゲールは申しておりました。

どうすりゃいいんだ???!!!
ナイチンゲールは「あなたを超えあなたの中にいる神に従いなさい。」と言われるのです。
一休さんの問答のようです。

ポク・ポク・ポク・ポク・チーン・・・
そこで、私のいない6日間、看護婦さんと、ご主人に口腔ケアをお願いすることにしました。

方法を説明しました。
1、スポンジブラシで、口腔前庭の食物残渣と舌苔を取り除く。
 (スポンジブラシはベッドサイドにありました)
2、USの歯ブラシで、歯を磨きをする。
3、パーマ液の容器に、コンクールを入れて、口腔内にできたろう孔にたまった
  食物残渣や膿を徹底的に洗い流す。
8月の末から、皆さんの協力で口腔ケアが毎日実行されるようになりました。

こわごわ口腔ケアをして頂いた結果、皆さん口腔ケアに慣れてきました。そこで、
9月10日、次の段階に進めてみました。
スポンジブラシをやめて、GCの舌ブラシで舌苔の除去をした頂くことにしました。

9月17日に訪問すると「毎晩39℃近くあった熱が、38℃になったんで。」と
うれしそうに語ってくれました。
Oh!口腔ケアのパワーではないだろうか?!

9月24日、ナースステーションで
「最近発熱がほとんどないんですと。口腔ケアの効果ですね。ありがとうございます。」と
言われました。<平静を装い、心の中でVサインを作りました>
「それは私の力ではなく、毎日のご主人の努力の結果でしょう。」と答えました。

その後の口腔ケアでは、もみじまんじゅう、カステラなど、毎回色々なおやつの食べかすが出てきます。食べたいものがある、それを食べているんだと思うと、
食べかすに感動を覚えます。職業病ですね。
歯科医院で働いている時は、お菓子の食べかすを見ると、
「てめー、ここをどこだと思っているんだい?!」って気持ちになっていたのですが
人間って勝手。

10月23日、「熱も出んし、痛みも楽になった」とおっしゃってくれました。
ケアをすると、今日はカステラちゃんが流れ出てきました。
口腔内は、いつもどこかに出血や排膿が認められたのですが、本日は(ー)。
NSさんは「口臭が軽くなったと思います。」と言ってくれました。
さらに、歯科医院に業務記録を持っていくと
受付でいらっしゃる先生の奥様が、
「この前、ご主人がお支払いに来てくれたとき、よくなったと喜んでいましたよ。」・・・

このような出来事全体を、八木誠一は『場所論としての宗教哲学』(法蔵館)において
統合概念で説明しています。
ナイチンゲールが語る宗教と、八木誠一の語る宗教は、非常に似ています。
<統合の自覚>としての宗教と言うことであれば、
上田閑照の『人間であること』(燈影舎)
も、
同じ事柄を語っているのではないでしょうか。

上田、八木FNの本

上田先生、F・ナイチンゲール、八木先生

医療や福祉の教育で「倫理」が重要視されています。
その倫理」の根拠を求めるとすれば、
ナイチンゲール、八木誠一、上田閑照に至る
のではないかと思う今日この頃です。

 

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