続、茜色のケアに助けられて・教えられ!

 <あかね>の患者さんに、難聴の方がいます。
ですから、耳元で大きな声を張り上げて会話しています。
メガホンを耳にくっつけて話したりもします。

この方は、歯磨きを手伝おうとしたら、自分ですると仕上げ磨きを嫌がられたり、
入れ歯を洗おうとしたら怒りだしたり・・・
ちょっと、気難しいのです。

今日訪問して大きな声で話していると、介護士さんに
「車椅子の背中のポケットのホワイトボードで筆談するといいですよ。
 最近難聴がきつくなったようですから。」と言われました。

はいはい、では筆談で
「歯磨きをさせて下さい・・」
書くと、スムーズ。
しかし、時間が長くなると、イライラが伝わってきます。

その様子を察知した介護士さんが近づいて、ホワイトボードに
「もうちょっと頑張って」と書くと、
うなずいて表情が穏やかになったのです。
別の仕事をしながらも、しっかり目配りしている。
プロだからできるやさしさですね。
私にとっても、本当にありがたいです。
<あかね>の、茜色のケアです。

最近歯磨きに慣れてきて下さっていたので、油断していました。
筆談になると、この一言のタイミングが遅れます。

歯磨きをしながらの筆談は大変なので、
「必要な言葉をカードにしてこようかと思います」と言うと、
介護士さんに、次のようにたしなめられました。
「私もそうしたんですが、3日目には通用しなくなりました。
その都度書いてあげて下さいね。」

ドキッんとしました。
私たちの会話は、一瞬一瞬生まれ出てくる、そこに喜びがあるのですから
そのコミュニケーションををぶち壊すところでした。
介護士さんの一言がなければ、
かけがえのないケアの関係として成り立つ口腔ケアを、
単なる歯磨き屋として台無しにしてしまうところでした。
体に関するヒヤリハットは重要視されますが、
こころのヒヤリハットも同じだけ、いえ、体以上に気をつけないと、危ない!

自動販売機の「ありがとうございました」を最初聞いた時
「えっ?」と思いました。
二回目は「無愛想な人間よりいいじゃん」と感じました。
三回目は「はいはい、ありがとうですね。うっとしい、だまれ!」と
言い返したくなったことを思い出しました。
もうちょっとで私は自動販売機になるところでした。

こう考えると、この患者さんは気難しい人なのではなく、人間として真っ当なだけです。
私のありようが、患者さんの気分を逆なでしていたのだと反省!!

大変しっかりした方ですから、なぜ口腔ケアが大切か
わかりやすいパンフレットを作って持っていくことにしましょう。

桜

 

 

 

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