臨地実習の威力にありがとう(1)

週1回訪問している特別養護老人ホームに、臨地実習として、
香川県歯科医療専門学校の学生さん御一行様がやって来ました。

学生さんが約20名、歯科医師1名、DH教員の先生4名。
食堂にこの白衣集団が入ってくると、いつもとは違うただならぬ雰囲気が漂う。
車いすや、椅子に腰かけた特養の住人は、
顎を若干持ちあげて顔を右へ左へ動かして様子を伺う方、
これは嬉しくない事態の前兆だと察知したのか、
車椅子の肘かけを握りしめて背中を丸め、じっと自分のお臍のあたりを見つめる方、
いつもと全く変わらぬ表情の方、
若く可愛らしいお嬢さんたちの登場に表情筋が緩む方と、その心持はそれぞれ。

3年生の学生さんは2人ペアになり、それぞれ先生に紹介された高齢者の皆さんに
挨拶して、問診、口腔内診査し、先生にアドヴァイスを受ける。
セルフケアして頂いた後、口腔ケアを実施していました。

このフロアーには、私になかなか口腔ケアをさせてくれないkさんがいます。
kさんと私、私が歯ブラシさえ持たなければ関係は良好です。
しかし私がひとたび手にコップと歯ブラシを持って近づくと、
「もういいです」「もう結構」「わかりません」「もういいです」の連発。
そして、杖をついてに逃げて行く。

素直に歯磨きをさせてくれたのは、初回のみ。
その時のkさんは、歯石に繋がれたグラグラ いや、プラプラの左下4番が気になり
いつも口をモグモグさせていたのです。
4番のことに気づかぬスタッフは、kさんが何をしているのか理解できていませんでした。
ティッシュを噛んでいるとか、ガムを噛んでいるのかと思っていたようです。

そんなkさん、はじめて口に中を見せてもらったときは、
なんとか歯ブラシを使わせてくれました。
彼女自身、右下4番に難儀していたのかもしれません。
翌日、院長先生が抜歯。
印象採得すれば、私でも簡単に抜歯出来たでしょう。

いよいよ本格的に私の口腔ケアが始まりましたが、歯ブラシを持っていくと
「もういいです」「もう結構」「わかりません」の連射攻撃です。
私の秘密兵器、なだめすかし褒め褒め願い倒し作戦も全く歯が立たない。
この状態が一か月続いていました。
つまり、口腔ケア4連敗!

kさんに学生さんやDH先生方はどのようにするのかと、
心配しながら施設のスタッフの皆さんと様子を見守りました。

なんと、じっと座ってなされるがまま。
学生さんが歯ブラシを手渡すと、

じぇ!じぇ!じぇ!

自分で磨いているではありませんか。

上川ヒサ子1

施設のスタッフと私は驚き、次の瞬間カメラを構えていました。
カメラを持って私たちは、お互いの姿を見て笑い合いました。

スタッフの方は「こん度歯磨き嫌がったらこの写真見せてみよーっと!」と言いました。

学生さんはすごいなー!
私は報道カメラマン気分。

ふっと、我に返って・・・・
訪問口腔ケアの授業は、私がしているんですね。
認知症の方との関わりとかを教えています。さらに、毎月一回、施設の方へ口腔ケアの指導長年続けています。

ちょっと、しょんぼりしていたら、それを察した明るい介護スタッフ君が
「きっと、この状況に呑まれ、逃げられないと感じたんですよ。」

今日のところはそういうことにしておこう。

ちょっと嬉しかったのは、
kさんが私に嫌なことを遠慮なく「嫌だ」と言ってくれていることです。
それから、
「空気を読んで、やるときにはやる。」というkさんがいいなーと思えたこと。

 

 

 

 

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