小学校5年生の歯科保健指導(平成26年用)

衛生士学校では、小学校で歯科保健指導をするためのシナリオ作りをしていますので、
紹介します。シナリオは、練習しながら修正を加え完成させていきます。

 

みなさんこんにちは。私たちは歯科衛生士の専門学校から来ました。
学校では歯科衛生士になるための勉強をしています。
なぜ、虫歯や歯肉炎になるのか、また、どうしたら虫歯や歯肉炎を予防することができるかと言うことについて学習するのです。
今日は、私たちが学校で習ったことについてお話ししたいと思います。
そして、一緒に歯磨きもしたいと思いますのでよろしくお願いします。

まず、持ち物の確認をします。
歯ブラシ、コップ、タオル、洗濯ばさみ、鏡、赤鉛筆、全部ありますか?
忘れ物がある人は、手を挙げて近くのお姉さんに教えてください。
準備はできましたか?

 皆さんは小学校の高学年ですね。そろそろ、将来の仕事について考えるころだと思います。みなさんの将来の夢は何ですか?手を挙げて教えてください。

スポーツ選手、看護師さん、アイドル、学校の先生・・・いろんな夢があると思います。
どの仕事を選んでも、歯の健康が大変重要なのです。
例えば、学校の先生や、アナウンサーなど、人に何かを伝える仕事の場合、
歯がなければ、何をしゃべっているのか分からないですよね。
それでは、困ってしまいます。
歯が抜けたアイドルは、かわいくないですね。
お店の店員さん、看護婦さん、歯医者さんは、人に近寄って仕事をしますね。
もし、歯の手入れが悪く、口が臭かったら、お客さんや患者さんに、いやな思いをさせてしましまう。
スポーツ選手や、消防士さん、介護をする人は、大変力が必要です。
歯を食いしばって力を出したり、バランスをとったりするので、歯の健康が大変重要です。

では、みなさんもバランスをとる体験をしてみましょう。起立してください。
まず、目をつぶって口を大きく開けて、片足立ちをしてください。
目を開けてください。どうですか?バランスはとれましたか?
ぐらぐらしたり、しませんでしたか?
では次に、目をつぶって歯を食いしばって、片足立ちをしてください。
目を開けてください。どうですか?口を大きく開けたときよりも歯を食いしばったときの方がバランスをとりやすかったですね。着席してください。

このように、口や歯は、食事を食べるだけではなく、どの職業の人にとっても大切で、
皆さんが将来の夢をかなえるためにも欠かせないものなのです。

 では、この歯を失くす原因となる病気には、どんなものがあるか知っていますか?
そうですね、むし歯を治療せずほっておくと、最後には歯を抜くことになりますね。
他に分かる人?
歯を支えている、歯ぐきの病気も重症になると、自然に歯がポロリと抜けてしまいます。
私たちが歯を失くさないためには、虫歯や歯茎の病気から歯を守ることが大切なのです。
虫歯の予防については、これまでたくさん勉強してきたと思います。

どんなことを勉強しましたか?

もし、 虫歯ができたら、早めに歯医者さんで治す。
甘いお菓子は、時間を決めて食べる。
咽が乾いたら、ジュースではなく、お茶やお水を飲む。
食事をしっかり噛んで食べる。
丁寧に歯磨きをする。等ですね。守れていますか?

今日は、お口の中のもう一つの病気、歯肉炎についてお話しします。
では、この二つの写真を見てください。
どちらが健康な人の歯茎だと思いますか?
右だと思う人は手を挙げてください。
左だと思う人は手を挙げてください。
そうですね。
右の写真がが健康な人の歯茎ですね。
健康な歯茎と、病気の歯茎は、どこが違うのか考えてみましょう?

 今からプリントを配ります。みなさん、プリントはありますか?
みんなでプリントのカッコを埋めながら、歯肉炎について詳しく勉強しましょう。
では始めます。
まず、歯茎は別の言い方があって、歯肉と言います。
プリントのカッコに「歯肉」と書いてください。
この、歯肉の病気が、歯肉炎です。
では、歯肉炎とはどのような病気か知っていますか?
歯肉炎は、むし歯と違って、冷たい水がしみたりしません。
ひどくなっても痛くなったりしないんです。
良かったーと思いますか?
そんなことないんですよ。
「痛い」というのは、体が、病気になって大変だとと教ええてくれているのです。
虫歯は「しみたり・痛い」から、歯医者さんに行かなければならないと分かりますね。
お腹や頭も、「痛い」と、病気だとわかるから、
休んだりして身体を元気にすることができます。
もし、お腹が病気なのに、痛くなければ、どうなるでしょう。
私たちは、食べ過ぎたり、休んだりせず、
病気をひどくする生活を続けることになってしまうのです。
歯肉炎は、痛くないので、罹っていてもなかなか気づきません。
自分でしっかり注意深く観察して、見つけなければなりません。

 この二つの写真では、こちらが歯肉炎の写真でしたね。
健康な歯茎と比べて、歯肉の色で分かることはありますか?
そうですね。健康な人の歯肉の色はうすいピンク色をしています。
それに比べて、歯肉炎の人の歯肉の色は赤く血のような色をしていますね。
それではプリントの健康な歯肉の方に、「うすいピンク色」、歯肉炎の方に、
「赤色」と書いてください。
次に、歯と歯の間の歯肉の形ではどうでしょう。違いが分かりますか?
そうですね。
健康な人の歯肉は三角形をしています。
それに比べて、歯肉炎の人の歯肉は丸みをおびていますね。
それではプリントの健康な歯肉の方に、「三角形」、歯肉炎の方に、
「丸い」と書いてください。
最後に、二つの写真を比べて、歯肉を触った感触はどうだと思いますか?
そうですね。健康な人の歯肉は引き締まっていて硬い感じがしますが、
歯肉炎の人の歯肉は、ブヨブヨしていそうですね。
それではプリントの健康な歯肉の方に、「引き締まっている」、
歯肉炎の方に、「ブヨブヨしている」と書いてください。

歯肉炎になると、歯肉が、赤くなり、丸く腫れた、ぶよぶよしてきます。
また、歯磨きをすると血がでたりすることもある病気です。
みなさん、歯肉炎について分かりましたか?

では、自分の口を鏡に映して、歯肉は健康か、歯肉炎になっているかを観察して下さい。
分からない人は、手を上げて下さい。
健康だった人?
歯肉炎があった人?
健康だった人は、これから歯肉炎にならないためには、何をすればいいと思いますか?
そんなそうですね。歯磨きですね。

 では、歯肉炎になっていた人は、どうすればいいと思いますか?
これも、歯磨きなのです。
歯肉炎は虫歯と違って、歯医者さんに行って治療をしてもらわなくても、自分で歯磨きをすることによって治すことができます。
歯肉炎の原因は、虫歯と同じで<歯垢>です。
歯垢のなかには、虫歯菌だけではなく、
歯肉炎をおこす歯周病菌もいるのです。
ですから、歯磨きは虫歯を予防するだけでなく、歯肉炎を予防したり、
歯肉炎を治したりするためにもとても大切なのです。

そこで、歯肉炎のときの歯の磨き方について説明します。
歯肉炎のとき、歯と歯肉の境目を磨くと、血が出ることがあります。
しかし、何も心配はいりません。
歯ブラシの毛先を、歯と歯肉ぎりぎりのところに当てて、小さく動かします。
1か所につき20回動かしましょう。
この磨き方を続けていると、血も出なくなり、
歯肉は引き締まってやがて歯肉炎は治ります。

 それではみなさんがどのくらいきちんと歯磨きができているかを調べてみましょう。
歯垢は何色でしょうか?
そう、歯と同じ白い色をしています。
ですから、鏡で見ても、どこについているかよく見えません。
そこで、歯垢を赤く染め出して歯磨きをしてみます。

まず、机の上に歯ブラシ、コップ、タオル、洗濯ばさみ、鏡、赤鉛筆を出してください。
このお姉さんがしているようにタオルを肩にかけて、後ろを洗濯ばさみで止めてください。
できましたか?

 今から赤い液の付いた綿棒を配るので、鏡を見ながら、
全部の歯の裏表と噛むところにしっかり塗ってください。
赤い液は服につくと洗濯しても落ちにくいので気をつけてくださいね。
塗り終わった綿棒は近くのお姉さんに渡してください。
塗れた人は、1回だけうがいをしてください。
うがいができた人は、鏡を見ながらプリントに、
赤く染まった歯の部分を赤鉛筆で塗ってください。
みなさん、できましたか?

どの部分が赤く染まりましたか?
手を挙げて教えてください。
そうですね。
歯と歯の間や、歯と歯肉の境目、奥歯の溝、利き手の前歯などが赤く染まりやすいですね。

赤く染まった部分は、しっかり磨けていないところです。
では、赤く染まった部分をきれいに磨いていきましょう。
歯と歯肉の境目を磨くとき、このようにグーで持つと力が入りすぎてしまいます。
力を入れすぎると、歯肉が傷つくので、気をつけてください。

歯ブラシをこのように、鉛筆持ちにすると、力が入りすぎず、
しかも、細かく動かすことができるので、丁寧に磨くことができます。

特に歯と歯の間や、歯と歯肉の境目に歯垢が溜まりやすいので、
鏡を見ながら歯ブラシの位置を確認しながら磨いてください。
それでは、前歯から磨いていきましょう。
みなさん、歯ブラシを、鉛筆を持つように持ってください。
歯ブラシを小刻みに動かして磨きましょう。
1か所につき20回動かしましょう

特に利き手側の前歯は磨きにくいので、注意して磨きましょう。
前歯の、歯と歯の間は、このように、歯ブラシを縦にして、上下に細かく動かします。
できましたか?

次に、左側の奥歯の噛み合わせを磨いていきましょう。
この一番後ろの背の低い歯は、生えて間もない大人の歯です。他の歯と同じように磨いても、歯ブラシがきちんと届かないので、食べかすがたくさん詰まっています。

こうして、一番奥の歯と、ひとつ前の歯を同じように磨いても一番奥の歯は、背が低いので歯ブラシが届きませんね。

こんなふうに背の低い歯は、横から一本ずつ磨くと、きれいに磨くことができます。
ではみなさん、上の歯から磨いていきましょう。
上の歯が磨けたら、次は下の歯を磨きましょう。
できましたか?

同じように右側も磨いてみましょう。
できましたか?

 最後に前歯の裏側を磨いていきましょう。
このように、歯ブラシを歯の裏にあてて、前にかき出すように動かします。
みなさんも、磨いてみてください。
どうですか?できましたか?

では、鏡を見て、まだ赤く残っている所を、奇麗に磨いて下さい。

<時間が許すようならば、舌でツルツル感を味わってもらいましょう。>

このように、食べた後や寝る前に歯磨きをしないと、虫歯や歯肉炎になってしまいます。
ただ、ゴシゴシ磨いただけでは、これらは防ぐことができません。
しっかり自分の歯や、歯肉を守るためにも、今日習った3つのポイントを思い出して、磨き残しがないように磨いてください。

では、3つのポイントをおさらいしましょう。

みなさんも、お姉さんの後に続いて言ってください。
1.歯と歯肉の境目は鉛筆持ちで磨く。
1.歯と歯肉の境目は鉛筆持ちで磨く。

2.前歯の歯と歯の間は歯ブラシを縦にして磨く。
2.前歯の歯と歯の間は歯ブラシを縦にして磨く。

3.背の低い奥歯の噛み合わせは、横から磨く。
3.背の低い奥歯の噛み合わせは、横から磨く。

みなさん、大人の歯は一生使っていく歯です。
今日習った歯磨きを実行して、大切な自分の歯を守りましょう。
そして、将来の夢をかなえて下さい。

これで終わります。ありがとうございました。

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