歯科衛生士座談会①ー2

歯科衛生士として、授乳は母乳育児をおすすめしたいが、
それは一筋縄にはいかないこともある。

そんな時は哺乳瓶を使うことになるのだが、
どんなゴム乳首がいいのだろう???

バブラシ選びなら少しはわかるが、ニプル(乳首)の方は
責任が持てないですね。

むかしむかし「かめかめ便り」でも掲載したことがあります。
ネットの無い30年前でした。
当時は手に入るものを買って、自分で飲んだり、知り合いの赤ちゃんの様子を観察して
記事を書きました。

1,ビジョンのゴム乳首
2,ジェックスの チュチュスーパークロスカット
この2つが一般的でした。
加えて次の2種を試しました。
3,大塚製薬の ビーンスターク
4,西ドイツの ヌーク

ためした結果、4,西ドイツの ヌークを私なりに推薦してきました。

今回、歯科衛生士座談会に参加してくださった
倉敷の助産院 グランマの村口先生のおすすめを伺いました。

母乳で育てたいと思っているけれど、うまく軌道に乗らない赤ちゃん、
また、母乳に移行したいと考えている方、母乳とミルクの混合の赤ちゃん、
3か月までなら、
コンビのテテオ 授乳のお手本 をおすすめしているそうです。
これは、母乳に近い舌の動きができるそうで、
母乳復帰した場合でも赤ちゃんが、乳頭混乱しにくいそうです。

その後は、
そろそろ離乳食が始まる準備として4か月頃からは、
下顎の動きを考えると、ヌークのプレミアムがいいのではないかということでした。

お子さんとの相性もあり、また違った考えの方もいると思います。

ちなみに、ビーンスターク ニプルは、販売終了だそうです。

 

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歯科衛生士座談会①ー1

子どもの発達が気になるというテーマで、語り合いたいという面々が
縁あって、集まることになりました。
出身校も、年齢も、職場も、職種も違うが、
ちょっと気になる子どもたちを何とかしたいという、願いは同じ。

そこで全員が<岡崎好秀先生>に教えられたことをそれぞれ
紹介したのは印象的でした。皆さん様々な影響を受けていらしゃる。
あらためて、先生の偉大さを感じました。

もう一人、<幕内秀夫先生>からの学びを皆さん実践されています。
どうも、同じ感性を持った人たちが、出会うべくして出会った集いです。

R74月27日(日)13:00~17:00 飯山町南コミュニティーセンター

参加者:倉敷の助産師&保健師さん
歯科衛生士歴30年、12年、8年、10年、30年、48年の方。
それぞれ、顔ヨガ・シェルハブ・舌はがし・MFT・身体調和
ケアマネ・産業カウンセラーなど学んでいましたので、
4時間はあっという間でした。

そこで出た話題をご紹介します。
・離乳食がうまく進まない赤ちゃんが増えた。
・妊娠中から体を使って生活していない。
・赤ちゃんの発達が、本来の道筋ではない子が増えた。
・子どもとの遊び方を知らない親が増えた。
・食事が作れないので、離乳食も作れない。
・子育て便利グッズが、子供の発達の邪魔をしている。
・現状打破には、多職種連携が不可欠。
助産師さんおすすめ、哺乳瓶用乳首。
・助産師さんが考える、妊婦さんに伝えること。
・朝ごはんとして、ごはんとみそ汁を作る力。
・ルーティング反射を促す。
・携帯の電磁波がやばい。特に充電しながらの使用。

この半世紀で生活が一変したのだが、
そこにうまく対応できていないことに一因がありそうです。

生まれてくる赤ちゃんは江戸時代も、昭和も変わらない。
それぞれの時代に、どう子育てするかという文化があり、
日常生活の中で家族はそれを受け継いでいたのだと思います。
善かれ悪しかれ・・・
今は、玉石混交のネット情報におぼれそうな時代。

かといって昔にもどるわけではなく、今、どうしていくかが問われているのです。
(このような思考は、幕内先生からこんこんと教えられました(笑))

★歯科衛生士としてできることから始めよう!!
妊産婦検診に来たお母さんの支援から始める。
しかし、時間が足りない。自信がない。

まず、パンフレットを渡したらどうか・・・
現在、飯山町の香川歯科医院の歯科衛生士さんがそれを実施したいます。
参加者で、その内容を再検討しました。

次回は、
①妊産婦さんに渡すパンフレットについてさらに考える。

②豊中市西川歯科医院 西川岳儀先生の
「口腔から始まる機能獲得入門 生命活動の3S 健康増進サポーター」
なぁ、知ってた?口から始める健康づくりって
めちゃすごいんやで!  知らんけど・・・
セミナーの復習をする予定です。

③おすすめ小児用歯ブラシの紹介。

 

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口をあけてくれない方の口腔ケア②

口を開けてくださらない方への対応は、十人十色です。
学生さんが担当した方について、ご紹介します。

認知症の85歳 男性で、歯磨きは自分でしていると言いますが、磨いた形跡はない。
学生が磨こうとすると、「やめてくれ!」と怒鳴る。

さーどうしたものか・・・・
元、学校の校長先生だった方でした。
きっと、歯磨きなどされるなどはプライドが許さない。
時代的に、子供の仕上げ磨きなどが一般的でもなかったはず。

学生さんと話し合い、お願い作戦を立てました。
歯科衛生士学校の実習生で、歯磨きの勉強に来ています。
私が磨いてみますので、歯磨きの強さとか、よくないところを教えてください。

学校の先生ですから、教えるのは嫌いじゃないはず。

ワンクッション置くために、色違いの歯ブラシを数本用意して、
「〇〇先生、差し上げますから好きなものを選んでください。」と声を掛けました。

選んだ歯ブラシを使って、
「〇〇先生、いかがですか?
〇〇先生、痛みや嫌な感じはございませんか?」と
声をかけながら歯磨きすることができました。
若い学生さんを、助けてあげたいと思っていただけたようです。

初回は、咬合面と唇側面だけで手早く終了。
特に初回は慎重に、時間をかけて丁寧にかかわることが大切です。
嫌な思いを残さないこと。
何をしたかという具体的な内容は忘れても、感情の記憶は残りやすいのです。

「〇〇先生、ありがとうございました。勉強になりました。
今日は歯の表だけ磨きました。次は裏側も教えてください。」

この男性は、だんだん慣れて歯間ブラシ、舌ブラシも使って
仕上げ磨きさせていただけるようになりました。

ただし、気分の乗らないときは無理しません。
たわいのない会話を交わすだけで終わることもあります。

実習期間の最終日には
「〇〇先生、歯磨きしますね。」と声をかけると
自然に口を開けてくださっていました。

「今日で実習が終わります。お世話になりました。」
と伝えると「寂しいになるな、また来てな。」と言ってくださったようです。

 

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口をあけてくれない方の口腔ケア①

歯科衛生士が実施する口腔ケアのお悩みで、多いのが口をあけてくれない方への対応です。
クインテッセンスの『歯科衛生士』に連載した、コラムを紹介します。

歯科衛生士徒然草§第二十四段

訪問口腔ケアの現場で難しいと感じるのは痴呆の方のケアです。そう感じるのはどうも私だけではないようです。老人保健施設でも、よく寮母さんから相談されるのが痴呆の方の歯磨きです。

痴呆の方に接するとき大切なことは、こちらが相手にあわせていくこと。痴呆のお年寄りを現実の世界に対応させるのではなく、こちらがお年寄りの持っている世界に近づくことです。

一口に痴呆と言ってもさまざまなタイプがあります。まず素直なタイプの痴呆の方。誰に対しても素直な方は特に問題ありませんので、毎食後歯磨きにお誘いし、足りないところを助けてあげます。
いつも一緒にいる家族や寮母さんに対しては痴呆の症状が出やすいが他人には対面を保って素直になる方には訪問DHが白衣の天使となって口腔ケアさせていただく。

DHがダメでも歯科医師には素直になる方には、先生が白衣の権威となって歯磨きをする。
これはけっこう成功している。時間によって素直になる方には、その時間にこちらがあわせる。午前中が素直という方が多い。また、個別対応よりグループ活 動がお好みの方々は、集めて一緒に磨きます。対抗意識で頑張って磨く人や、できない人を手助けする人が登場するからおもしろい。
気をつけることは、隣合せる人間関係が悪ければ喧嘩がおきる可能性もあること。そのほか対応は百人百様、個性的で刻々と変化する。それでもだめな時は、口開けぬなら、「開くまで待とうジジ・ババ作戦」です。

意識がなく固く口を閉ざしている方の歯磨きも大変なのですが、DHがなかなかうまくやっているのに感心します。開口器などを使用せず、歯ブラシを口の中に滑り込ませて磨いています。
この技は他職種の方には真似できません。常に口腔を触り慣れているというだけでは無理。私はSRPに、その秘密があると思っています。深い歯周ポケットのなかに刃物を入れ、手の感覚だけを頼りに硬くこびり付いた歯石を除去する。時には1時間も集中します。この間にすばらしい感覚や感性が磨き養われているのでしょう。まさに職人芸、百冊の本を読んでも身に付けられぬDHだけの財産なのです。

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川邉研次先生の講演!!

 

「天才歯科医が教える 10歳までの姿勢教育で お口ぽかん、視力の低下を防ぎ、
免疫力もゲットしょう!」

https://www.hanamaru-college.com/videodetails.php?id=952

患者さんは勿論、ご自身、家族,為にも、是非観てください!!

(親も学ぶ花まる子育てカレッジ より)

8月4日(水)未来歯科院長である川邉研次氏による「天才歯科医が教える10歳までの姿勢教育でお口ポカン、視力低下を防ぎ、免疫力もゲットしよう!(対象:6歳~10歳のお子様をお持ちの保護者)」と題した対談をZoom配信しました。
未来歯科は、基本的に道具を使わずに全身のトレーニングで歯列を良くすることを目指しています。はじめに川邉氏は、目・鼻・口は空洞でつながっており、口腔の問題と全身の問題はつながりがあることを語りました。歯並びの悪さに影響することとして、鼻呼吸できていないこと、飲み込みが悪いこと、姿勢の悪さを挙げ、姿勢の悪さにつながる環境要因として、座っている時間、椅子の高さ、歩き方、靴選びについて言及しました。
まず、座り続けることによって病気のリスクが増えるとされるため、15分で勉強も運動も次に切り替えることを提案しました。椅子の高さについては、グーグルなどの大手企業で「昇降机」が使用されていることにも触れ、立って勉強することの良さを説明しました。また「バランスボール」も良いグッズであり、良い姿勢を作り上げて脳と体を鍛えていく重要性を説明しました。
歩き方のトレーニングとして、裸足での「雑巾がけ」を紹介。未来歯科では雑巾がけを48m行っていると話しました。靴については、親指側に体重がかかるようにすることが重要であること、マジックテープが2本付いていて折り返しの部分に金具があるタイプの靴を推奨しました。
子どもの頃に、たくさん走り回ること、大きな声を出すこと、勉強を遊びにしていること。このような生活をしていると、人間の身体の機能を全部使え、免疫力が上がると説明しました。また、食事はしっかりと噛める調理を推奨しました。
最後に「習慣を変えることが大切」だと語りました。呼吸や食べ物を変えるためには、行動パターンや考え方を変えること。そのためには親も、子どもと一緒に生活習慣を変えることが重要であると強調しました。口腔と全身が影響していることや姿勢の大切さを学ぶことができ、自宅で行えるトレーニングも知ることができた有意義な時間となりました。

 

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歯科衛生士の隠居部屋

来年は私も晴れて高齢者の仲間入りですので、
自宅のそばに、歯科衛生士の隠居部屋を開きました。
まんのう町七箇福良見というところです。
古民家と言いたいところですがで、ただの古家です。苦笑!!

仕事をして疲れた・・・・
歯科衛生士を続けるかどうか迷っている・・・
職場を変わりたい・・・
もっと勉強したい・・・
講演を頼まれたけど自信がない・・・
保健指導の媒体を作りたいが・・・
体調がすぐれない・・・

子どもの口腔育成を学びたい・・・
町村純子先生の身体調和支援について知りたい・・・
お子さんやお孫さんに、
そして家族に歌に合わせてマッサージをしたいが方法がわからない・・・

ただ、ゆっくりお茶が飲みたい・・・

お待ちしていますので、どなたでもいらしてください。
DVD、本の貸し出しいたします。
代金の心配はご無用(笑) 手土産不要(笑)
但し、不在のこともありますので事前にご連下さい!!

1階は息子の農園の作業場で、隠居部屋は2階となっております。
今は窓から見える、お隣さんのおの庭の桜が、おもてなし致します。+

漆喰の壁は、プロジェクタースクリーンとして使っております。
ご希望により、ミニ勉強会も開催しております。

「私の考える、これからの歯科衛生士が担う健康について」
「食べる支援」
「幕内秀夫先生から学んだ食生活」
「町村純子先生から学んだ身体調和支援」
「岡崎好秀先生から学んだ歯科保健指導」
「八木洋一先生から学んだケアの根源」

私の希望としては、読書会もしたいと思っています。

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ケアマネニュース10

入れ歯の話

8020運動を知らない方はいないと思います。
そう、「80歳で20本の歯を残そう!」という目標です。例えば、前歯2本、犬歯1本、小臼歯2本が上下左右で20本となりますね。では、大臼歯はいらないの?決してそんなことはありません。試しに、奥歯をかみしめずに、片足立ちでバランスをとったり、握力を測定してみてください。その大切さが理解できると思います。車の急ブレーキの踏み込みも、奥歯がないと遅れると言われています。利用者さんでしたら、バランスを崩して転倒しやすくなったり、腹筋に力が入りにくくなります。入れ歯でもいいですから、20本ではなく、28本を目指してほしいと思います。

さて、じゃ入れ歯を作って入れようとしたとします。一回でドンピシャ!「こりゃいい、よく噛める。」とはいかないのです。入れ歯を作った患者さんにとって大変なのは、入れ歯の調整です。調整は入れ歯を少しずつ削り様子を見ながら進めるために、日数がかかる場合が多いのです。運よく1,2回で適合する場合もありますが、10回以上の調整が必要となることもあります。この事態について患者さんの理解が得られなかったり、あるいはご家族にとって負担となったりする場合には、調整が途中で放棄されてしまうことがあります。そうなると、患者さんは入れ歯を快適に使用することができず、食事や会話に不自由を強いられる結果になるのです。歯科医師と患者さんの間に立つ歯科衛生士は、このような状況について丁寧に説明するのですが、患者さんのイライラは爆発することもあります。時には、先生には「大丈夫です。」と言いながら使用しないという選択をなさる方もいます。そうなると、先生の方もせっかく一生懸命調整しているのに・・・・と。

訪問歯科衛生士はこのような場合、患者さんは勿論、ご家族、施設のスタッフ、先生の間に入って説明することになります。理解が得られなければ、何度も何度もお話しさせていただいています。患者さんも辛いですが、歯科衛生士も根気がいるのです。

私が出会った患者さんは、次々に歯科医院を変わり、なんと7個の入れ歯を持っている方がいました。幸い7個目の入れ歯とは相性が良かったようです。7件目の歯科医院がよかったということもありますが、長きにわたって、入れ歯を入れるということに慣れたという面もあると思います。口の中は、体の中で最も神経の数の多いところです。ですから、口の中に1㎝の髪の毛が入っても耐えられません。そんな口腔に入れ歯を入れて、使いこなしていくためには、慣れて馴染むまでの時間が必要なのです。

患者さんに入れ歯の調整について説明するとき、私はよく「眼鏡と義足」のお話をさせて頂きます。眼鏡はかけるとすぐによく見えます。(それでも定期的にフレームの微調整は必要です)が、入れ歯の場合はそうではなく、義足をイメージしていただきます。義足をはじめて使う場合、まず訓練を目的とした「仮義足」と呼ばれるものでリハビリします。その後、「本義足」を作り、調整しつつ使い慣れていくのです。パラリンピックでのパフォーマンスを可能にするためには、さらに特殊な義足を装着し、長きにわたりご本人と、義肢装具士の並々ならぬ努力で可能になるのだと想像できます。入れ歯は「義歯」とも言いますが、眼鏡ではなく「義」がつく義足の仲間なのです。

歯のおもちゃ

ところで、認知症が進むと、入れ歯を新しくしても使用率が低いという研究報告があります。主に3つの理由が挙げられます。

①新しい義歯への順応が難しい

②意思疎通困難なため、十分な義歯調整ができない

③義歯なしで柔食が摂食できると、装着の必要性が少なくなっている

上記のような患者さんのご家族が、何とか入れ歯を装着してしっかり食べて元気になってもらいたいと思っている場合、ご理解いただくのも辛いものがあります。伊東歯科口腔病院の廣瀬知二歯科医師は、入れ歯を新しく製作する場合に次の3点の確認をするそうです。

①患者さん自身が義歯の必要性を理解している

②介護環境を含めて義歯の管理(衛生状態・誤嚥や紛失防止)は確保される。

③義歯の装着経験がある。

さて、高齢の認知症の利用者さんの食事介助における相談で、次のようなことを言われることがあります。「最近、スプーンを噛んでしまうんです。」口腔ケアの相談では、「奥歯に歯ブラシが当たると、カミカミするんです。」とか、「口腔ウエットティシュを指に巻いて拭こうとすると、強くチュウチュウ吸ってくるんです。」ということも耳にします。これらは、口腔に関連した原始反射だと考えられます。

原始反射とは、乳児期に見られ成長とともにだんだん消えていく、刺激に対して意識とは無関係に起こる筋肉の反応です。口の周りに何かが触れると反射的に吸うのが、おっぱいを飲むために起こる吸啜反射です。下顎臼歯部に何か触れると、噛むような動きをするのが咬反射と呼ばれるものです。これらは、脳血管疾患や認知症による脳のコントロール機能低下により口腔に再出現する、代表的な原始反射です。

利用者さんにこのような口腔に関連した原始反射の再出現が見られるようになると、義肢を使うことが難しくなります。赤ちゃんの卒乳の考え方を模すれば、「卒義歯」と捉えることができるのではないでしょうか。ただし卒義歯は、決して口から食べることができないという意味ではありません。食事形態の適切な選択や、食事介助の工夫でお口から食べて頂くことはできるのです。

今回をもって私のお話は最後となります。原稿を掲載する機会を頂けたことを感謝しております。ありがとうございました。

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ケアマネニュース8

災害時のお口のケアについて

今年(2021年投稿)は東日本大震災の発生から10年です。そこで、今回は災害時の口腔ケアについて考えてみたいと思います。

2011年3月11日から数カ月、Twitterで多くの人が「口腔ケアをしてください。誤嚥性肺炎で命を失わないために」とつぶやいていました。それは、阪神・淡路大震災(1995年)の教訓からです。阪神・淡路大震災では、肺炎が震災関連死の最多数を占めていました。震災関連死者のほとんどが高齢者であったことから、この肺炎の多数が誤嚥性肺炎だったのではないかと考えられています。それから後の震災では、誤嚥性肺炎予防のため口腔ケア班が派遣されるなど、口腔ケアの重要性が唱えられてきました。

そこで、防災用品リストの中にいつも使っている「歯ブラシ」を加えることを提案します。そして次のページの「歯みがき、お口にケアはあなたの歯を守ります!」をコピーして歯ブラシと一緒に保管していただけると、もしものときにお役に立つと思います。

もう一つ加えるとしたら、「液体口腔ケア用品」です。これには使用方法によって2つのタイプがあります。

・デンタルリンス(液体歯磨き)口に含んですすいだあと、歯磨きをします。
・マウスウオシュ(洗口液)
歯磨きが終わったあと、口に含んでぶくぶくして吐き出します。

さらに加えるなら、キシリトールガム(シュガーレスガム)です。噛むことで、唾液がたくさん出ます。一時的に口臭のマスキング効果が期待されます。また、噛むことでストレスの軽減や緊張緩和にもなります。

私は2011年8月に気仙沼の避難所を回らせていただきました。歯周病で支援物資の歯ブラシが痛くて使えない方がいました。いつも使っている歯ブラシを準備しておくことが大切だと学びました。使い捨てのウエットティシュに「液体口腔ケア用品」を少し含ませて、歯、口の中、舌、義歯を拭くと急場しのぎの口腔ケアになることも体験しました。

「入れ歯の調子が悪く、配られた弁当が食べられない」「虫歯が痛くて眠れない」「歯周病で歯が抜けた」という皆さんにも出会いました。震災前に歯科治療を受けて下さっていたなら、こんな辛い目に合わなかったのにと感じる方も多かったのです。防災として、歯科治療しておくことが何より大切だと痛感させられました。このことは、要介護状態になるとか、入院を余儀なくされることに対する備えとも言えると思います。

「口腔ケアは命を救う」は、介護現場と同じです。

暑い時期で、脱水症予防にスポーツドリンクが
差し入れられていました。お菓子類も豊富にあり、歯磨き不足になると、あっという間に虫歯になることがあります。介護現場と同様です。

人前で入れ歯を外すのが嫌で、全く清掃していない人がいました。そのことで、口臭が気になり会話もしていませんでした。

ある避難所に届いた歯ブラシは、大きくて、毛が硬い物ばかりでした。
義歯を洗うには重宝しました。

配られるお弁当が硬くて、食べにくいという方のお口です。自宅で生活しているときは、おかゆを食べていたそうです。
軟らかいはずのハンバーグも、寒い時期は油が固まり、噛めなかったそうです。

防災に必要と思われること>
健康な歯、口になる方法を知っておくこと。
健康な歯と口、適合の良い入れ歯で、しっかり食べることができること。
定期的歯科受診は、防災です

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ケアマネニュース7

ウイズコロナにおける「マスク」と「鼻呼吸」

2020年ユーキャン新語・流行語大賞には「3密」が選ばれ、トップテンには「アベノマスク」「オンライン〇〇」「アマビエ」など、コロナに関連するものが多い年でした。

歯科医院や仕事の訪問先では皆さん検温し、できる限り3密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避け、マスクの装着、手洗い、うがい、アルコール消毒、換気を行っています。厚生労働省は疫病を払うとされる妖怪「アマビエ」を描いた啓発用アイコンをホームページ上で公開しましたが、いまだにご利益はなく、2度目の緊急事態宣言が発令されました。

ウイルスは口や鼻などの粘膜から侵入しますから、仕事はもちろん、日常生活においてもマスクは欠かせないものとなりました。洋服に合わせたおしゃれなマスクや、ウイルスや細菌、PM2.5のカットが期待できる高性能なマスクなど、さまざまなものが販売されています。マスクの機能はフィルター効果だけではありません。湿気に弱いウイルスは、マスクが吸収した呼気中の水分でダメージを受けます。また冬場は加温効果もプラスされるのです。

ただし、このマスクの機能が発揮できるのは、正しくマスクをつけた場合に限ります。いかに高性能なマスクであっても、マスクと顔に隙間があれば効果は激減してしまいます。せっかく装着するのなら、「鼻」「ほほ」「あご」に隙間ができないように、しっかりとフィットさせ、効果を最大限に発揮させましょう。

ところで、2月~5月は花粉症の方にはとても辛い時期です。花粉症は日本人の四人に一人が罹患している国民病です。花粉を身体に入れないようにする仕組みとして、鼻水や涙で洗い流す、くしゃみで吹き飛ばすという反応が起きます。もし、くしゃみが出た時、マスクを着けていなければ、どうなるでしょうか?100万から200万の唾液の粒が、新幹線に匹敵する速さで2~3mも飛び散るそうです。マスク着用とともに「咳エチケット」も守りたいですね。

さて、マスクの下で皆さんの口はどのような状態になっていますか?

閉じていますか、それとも開いていますか?

いくらマスクでウイルスが防御できるといっても、完全ではありません。口を閉じて鼻呼吸をしていれば、鼻のフィルターが異物を除去してくれます。しかし、口にはそのような機能がありません。正しくマスク着けて、口を閉じ、「鼻呼吸」することを意識してください。鼻の通りが悪くて口呼吸になってしまう方は、ミントのマスクスプレーも効果的です。

口呼吸になってしまう原因に、舌や口のまわりの筋力の低下があります。特に舌の位置が下がっている人は注意が必要です。チェックしてみましょう。口を閉じてみてください。その時、舌の先はどこに当たっていますか?

①上あご
②上の前歯の裏の歯ぐき
③上の歯と下の歯の間
④下の前歯の裏の歯ぐき

①は鼻呼吸をしている人です。②③④の人は、口呼吸になっている可能性が大きいです。

では、口呼吸を鼻呼吸に変えることができる「あいうべ体操」をご紹介します。声は出しても出さなくてもいいですが、ゆっくりと大きな口を開けるのがコツです。

1日30回を目標に、お風呂の中、車の中、利用者の皆さんと一緒に健口体操としてなど、時間を見つけて習慣にしましょう。

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ケアマネニュース6

さあー、歌いましょう!

皆さんおなじみの、お口の「パ・タ・カ・ラ・体操」は、食べる機能回復のリハビリの一つです。食前体操として取り入れている施設も多いと思います。「パ」「タ」「カ」「ラ」を発音することが、食べるために必要なお口の周りの筋肉や舌の筋肉のトレーニングになるのです。

では、簡単に各発音の説明をします。

」:唇をしっかり閉じてから発音します。
複数の表情筋、口輪筋や頬筋を鍛え、食べ物の取り込みや食べこぼしを防ぐ
トレーニ ングです。

」:舌を上あごにくっつけて発音します。
舌の筋肉を鍛えて食塊形成や食べ物を喉の奥まで動かすトレーニングです。

」:喉の奥を閉じて発音します。
口蓋帆挙上筋を鍛え、食べ物を飲みこむ時に間違えて肺に入らないように喉の奥を
閉じるレーニングです。誤嚥予防の体操です。

」:舌を丸めて舌の先を上あごの前歯の裏につけて発音します。

」同様に舌筋を鍛えて、食塊形成や食べ物の咽頭への輸送向上のトレーニングです。

10回ずつ発音し、5セット繰り返しましょう。唾液分泌も促されます。

食べるためには、呼吸のコントロールや、リズムも関係しますので、
「パ」「タ」「カ」「ラ」を発音する歌も有効だと考え取り組んでいます。

」:すずめの学校      ちーちーぱっぱちーぱっぱ 雀の学校の・・・

」「」:うさぎのダンス  ソソうさぎのダンス、タラッタ・・・

」:七つの子        ラスなぜ鳴くのラスは山に かわいい・・・

ただ歌うのではなく「」「」「」「」の音のときには手をたたいて、その発音意識します。すると、はっきり大きい声で発声できます。

こうしてみると、子どもが童謡を歌うのは上手に食べるための発達に大切だったのだと、考えられます。昔の大家族ではおじいさんやおばあさんが孫の子守をしていましたが、そのとき孫と一緒に歌うことが自分自身のフレイルや認知症の予防に一役買っていたのと考えられます。

こんな風に実施していた【歌う口腔機能向上訓練】では、隣に座っている利用者さんも一緒に歌い始めたりします。そこで、歌いたい皆さんもお誘いしています。

いま行っているスタイルを紹介します。

  • 歌謡曲や演歌、唱歌、童謡を織り交ぜる。
  • 1番のみを歌う(例外もあります)
  • 大きな字の歌集を作る。
  • カラオケやCDは使わない。(音程など気にしない為)

5、体を使うレクレーションを組入れる

・「茶摘み」の手拍子のところは机をたたく

・曲によっては運動をしながら歌う

・「幸せなら手をたたこう」は万歳など様々な

運動や、唾液腺マッサージなどを取り入れる

★近づきすぎない、向かい合わないなど感染予防の配慮も必要。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約20曲を30分かけて歌うのですが、100歳近い方もしっかり口を開き歌ってくれます。「声が出んから歌は遠慮したい」と言っていたが、歌い終わった後に大きな声で「楽しかったけん、また誘てな」と言ったりします。歌と会話では脳が関わる領域が異なりますから、上手くしゃべれなくとも歌える方もいます。私が帰るころ別の部屋から、ケアで歌った歌を口ずさむ声が聞こえてくるのです。旧石器時代、言葉を使う前から人は歌っていたと言われている事からも、人間には歌うという欲求が根源的にある気がします。もちろん、お嫌な方もいるので無理強いはしません。

 

口腔ケアで訪問している特別養護老人ホームも、新型コロナウイルス感染の影響で、厳戒態勢が続いています。事態が長引くにつれて利用者さんの心にも変化が出てきているようです。仕方がないとわかっていても「娘に会いたい」「外出したい」など訴えがあります。叶わぬ期間が長くなると、心が疲弊し黙ってしまう方もいます。そんな利用者さんのこころを、歌はひと時でも癒してくれている気がします。歯科衛生士の【口腔機能向上訓練】でなくとも、歌うことすべて【口腔機能向上訓練】になっています。

利用者さんのために、そしてご自身のために、さあー、一緒に歌いましょう!

日々思うこと ケアマネニュース6 はコメントを受け付けていません