講演のご案内

H30年6月22日(金))9:00~ 善通寺竜川農協

H30年6月29日(金))9:00~ 善通寺保育所

保育所の保護者の方に、家庭養育研修会としてお話しします。

まだ何をお話しするか決まっていませんが、
演題は『子どものしぐさはメッセージ』としました。

鼻呼吸など関係する、口腔機能育成には、子育ての在り方が重要です。
そのヒントがお話しできたらと思っています。

生命誌研究者のことばは、そのヒントです。

 

 

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発達障害の原因と発症のメカニズム

摂食嚥下について勉強している歯科衛生士の三木絵梨香さんに紹介されて
『発達障害の原因と発症のメカニズム~脳神経科学から見た予防・治療・療育の可能性
を読みました。
黒田洋一・木村ー黒田純子著 河出書房新社
2014年初版 2,300円

脳神経科学の微細なシナプスから疫学まで、最新の脳をめぐる科学データーから、「発達障害」の原因を脳神経科学からみて著者は、化学物質や放射線だと述べています。
これまで教わった発達障害の常識とは異なる発症の分子メカニズムは、私には超難解でした。
しかし、専門家だけの問題ではなく、歯科衛生士にとっても避けて通れぬ内容だと思いますので、是非読んでみてください。

これを読んで真っ先に思い出したのが、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』。
50年ほど前に、農薬などの化学物質の危険性を「鳥たちが鳴かなくなった春」という出来事を通して訴えた本です。農薬による被害を規制するきっかけになったものです。
本棚に見当たらない・・・
有吉佐和子の『複合汚染』も同じ!!
もっと真摯に受け止めなければ、大変なことになると感じています。

同時進行で、『寄る辺なき時代の希望』田口ランディ―著を読んでおりました。
副題は、人は死ぬのになぜ生きるのか。(訪問口腔ケアに関わる方に読んでほしい)
4章は水俣について書かれていましたが、水俣病も本質は同じ。

健康や、何を食べるかは、経済の問題、思想の問題だなー

自然食品店で購入して読んだ『赤ちゃんが危ない 母体と胎児の<汚染>を追う』。
1992年に出版されています。

P158~は、「HLD(hyperkinesis learning disabilities syndrome )症候群」の
治療実験が紹介されています。イギリスの小児病院で行われた、ハイパーアクティブの子どもたちを対象にした食事療法に結果、合成着色料と保存料が強く関係しているという結果が出た。

HLDは、ADHD (Attention Deficit Hyperactivity Disorder=注意欠如多動性障害)の
多動性。

 

下記は、2007年9月9日、東洋医学雑談

《 HLD症候群の症状 》

落ち着かずいつでも体を動かしている。衝動的に行動し気が短い家庭や、学校で、暴れもので、授業の進行を妨害し、友達ができない。集中できない。知能指数は悪くないのに、成績は低い。眠れない、夜目を覚ます。歩くとつまずいたり物にぶつかることが多い。手先が不器用。このような症状の子どもは、日本では問題児として扱われるだけですが、欧米ではハイパーアクティビティとかHLD症候群と呼ばれ、一種の病気だと考えられています。この治療には、従来は、中枢神経興奮剤などの薬での治療が行われていましたが、一時的には、改善されたが、またすぐに元に戻ってしまい、根本的な治療法がありませんでした。

1973年に、「子どもが、手をつけられないほど暴れたり、勉強についていけなかったりするのは、合成添加物に原因がある」とサンフランシスコの免疫学者ファインゴールド博士が発表しました。ファインゴールド博士は、合成着色料、香料、保存料の入った食品を食べない食事プログラムを組んでHLD症候群の治療を行ったところ、50%の子どもが劇的な改善が見られたと報告しています。最近では、日本でも、いじめや、青少年の狂暴な犯罪が大きな社会問題となっています。これらの問題の根本的な原因として、食事内容や食品添加物、農薬汚染などが挙げられます。

 

 

下記は、2007年9月6日(木)16:22   (時事通信)

【パリ6日AFP=時事】英サウサンプトン大学の研究で、食品に使用されている合成着色料や防腐・保存剤が、子供が集中力をなくし、すぐにかっとなって過激な行動に走るHLD症候群の症状を助長することが確認された。6日発売の英医学誌ランセットに研究結果が発表された。

合成着色料や防腐剤の摂取とHLD症候群との関係は30年以上も前に初めて言及されたが、それを実証する広範な調査・研究を欠いていた。

同大学の研究者は3歳の子供153人と8-9歳の子供144人をグループ分けして実験を行った。まず、添加物を含まないフルーツジュースを与えるグループと添加物入りの飲み物を与える2つのグループに分け、添加物入りを与えるグループを合成着色料の量によってミックスAと、Aの2倍の量の合成着色料を与えるミックスBのさらに2つのグループに分けた。A、Bとも、保存剤の量は同じとした。

6週間にわたって実験を続け、この間、対象となった子供を観察した結果、添加物を摂取したグループは全体的にみて約10%多くHLD症候群の定義に近い行動を取るようになったという。

研究の中心となった同大学の心理学のスティーブンソン教授は、この研究によって合成着色料や保存剤が子供の健康に悪い影響を与えることが明確に証明されたとしている。

同教授は、HLD症候群の原因はいろいろあって、親は子供の口に食品添加物が入らなくすることだけで同症候群を予防できると考えるべきではないが、それによって少なくとも1つの原因を取り除くことができると指摘している。〔AFP=時事〕

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まったり、ねことまご

ねことまご、とってもにています。

とても気になる存在同士で、つかず離れず遊びます。

どちらも、嘘がない。

どちらにも歯磨きをしています。

猫に歯磨きするように、孫にもすればいいと教えられます。

誰がお世話しているのか、されているのか( ^ω^)・・・

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風跡 第44号 2018.5

同人誌『風跡』は、四国学院大学の八木研究室で1979年に産声をあげた。
大学の職員と卒業生の数人で「『どんなに貧弱なものでもいいから自分のもの』を気軽に書けるようなものでありたい」という思いで発足したそうだ。

同人誌は3号以上続かないと言うことを耳にするが、風席は今年で44号!!

縁あって2002年から、私もその末席に参加させて頂いている。
今年は、歯科衛生士の学生実習の引率をした時の出来事を綴ってみました。

 

       《 宮 古 島 の 風 が 吹 く》

琉球楽器である三線と沖縄太鼓による伴奏のリズムを追いかけるように、

ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ・・・

と男女の掛け合いが続き、沖縄独特の歌が流れる。

漲水ぬ船着ぬ 砂んむなぐぬ  ヤイヤヌ 
ヨーイマーヌーユ 砂んむなぐぬよ ニノヨイサッサイ
ヒヤサッサ ハッイ ハッイ  イヤ ハッイ ハッサイ ハッサイ

掛け声に畳みかけるように、三板と笛の音が複雑に絡まる。

粟んななり米んななり 上りくばよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ 上りくばよ ニノヨイサッサイ 

歌に合わせて、着物に身を包んだ4人の女性が手拍子を打ち、両手を上下に振り、
両足で大地を踏み鳴らすようにして踊る。踊る女性を取り囲むように30人の人たちが
円陣を作って座っている。

ヨーイマーヌーユ ニノヨイサッサイ
ヒヤサッサ ハッイ ハッイ  イヤ ハッイ ハッサイ ハッサイ 

踊る人につられ、それを取り囲む人たちのテンションも上がってくる。体の中に潜んでいた、南国の血がうごめきだし、ざわめきたち、手拍子がだんだん大きくリズミカルになっていく。

島皆ぬ三十原ぬ 兄小達やよ ヤイヤヌ
ヨーイマーヌーユ 兄小達やよ ニノヨイサッサイ
ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ ハッサイ・・・

無表情だった人たちの顔がほころぶ。車椅子に座っているお婆さんが踊る。
ストレッチャーにつかまって歩くのがやっとのお爺さんが、両手をあげて声を出して笑
っている。終わりの見えない宴だ。

事の始まりは、卒業間近な歯科衛生士学校3年生の特別養護老人ホームでの実習引率でした。私が訪問口腔ケアをしている施設で、4人の学生さんが実習をすることになったのです。施設の職員さんの指導を受け、利用者さんに寄り添って、日常生活の支援を学びます。口腔ケアだけではなく、朝の申し送りから、一日の終わりに実習日誌を書いて帰るまでの時間をずっと共に過ごします。

この施設の昼食は、利用者さんとスタッフが同じテーブルで、同じ食事を食べます。
学生さんも食事介助をしつつ、食事を一緒に頂きました。そこでは利用者さんとの会話が弾み、和気あいあいとした時間が流れます。

また、月曜日の午前中には、牧師さんがいらして礼拝が催されます。熱心に参加される方もいますが、中には車椅子に乗せられ、どこに連れて来られているのか分からないまま座っている方もいます。牧師さんはその時々のお話をされ、賛美歌を歌ってくれます。「わしは一向じゃが、神さんでん仏さんでん、あっちに行きゃー喧嘩はないきん」と言いながら集っているお爺さんもいる、そんなおおらかさがなんとも面白い礼拝です。

実習生は1年生の時から私の授業を受けているので、気心は知れています。4人のうち2人は高松の自宅から通っています。もう2人は寮生で、なんとはるばる沖縄本島の南西290キロに位置する宮古島から来ています。沖縄県小浜島を主な舞台としたNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」を思い出す、ゆっくり穏やかな語り口が印象に残る学生さんです。

入学した当初から、学生生活もゆっくり焦らず慌てずマイペース。よく言えば落ち着いているのですが、過密な専門学校の授業についていく要領の良さを持ち合わせていない感じでした。ですから、何かと苦労しておりました。遅れを取り戻すため、放課後の誰もいない教室で2人そろって、課題に取り組む姿を何度も目にしました。

そのことがこの度の施設実習でも気になりました。例えば、一日の終わりには、実習日誌を書いて教員の点検を受けて帰ることになっています。ほとんどの学生は30分ほどで書き上げるのですが、宮古島の学生さんはその2~3倍の時間がかかりました。提出された日誌を見て、何度も書き直してもらう日々でした。

この実習の最後には、施設の利用者さんのためのレクリエーションを行うという課題があります。4人のメンバーはどのようなレクリエーションを企画するのか楽しみに待っていました。しかし、なかなか内容が決まりません。一人一人の顔を思い浮かべ、何をすると楽しんでもらえるかと悩んでいるようでした。それは良いところでもあるのですが、期限のある実習では困るのです。

やっと決まったのが、「沖縄の歌と踊りを皆で楽しむ」ことでした。このメンバーならではの案だと思いました。しかし、提出された計画書は、たいそうざっくりしたものでした。でもまぁー、何とかなるだろうと準備を許可しました。

が、やっぱり心配になり一日の実習が終わった後、準備委員会と称しておやつを食べながら話し合う時間を持ちました。曲がないと難しいだろうと思って、私が持っている沖縄のCDを学生さんに渡しました。

「このCD中の曲を使えるかな」と私が言うと、
「えーと、ちょっとそれはわからないさぁー」と、学生が小さい声で呟きます。
「何がわからないさぁー?」と私が聞き返すと、
「あのー、宮古島のは違うさぁー」と言うのです。
「沖縄のお店に行ったらよく流れている、安里屋(あさどや)ユンタとかは?」
「安里屋ユンタは有名だけど、八重山の竹富島のほうで、宮古島のとは違うねぇー」

さらに宮古島内であっても、各地区によって幼いころから慣れ親しんだ民謡は違うという事でした。選曲にあたり宮古島の学生さん二人が話し合いっているのですが、香川県民の3人には事情が掴めません。話し合いが終わるのを、コーヒーを飲んで待ちました。気がつくと外は真っ暗になっていました。

やっと「漲水のクイチャーにします」と言ってくれました。
高松の学生さんもほっとした表情です。
「漲水のクイチャー」って、どういう意味なのか尋ねると、
『くい』は『声』、『チャー』は『合わせる』ということ」だと教えてくれました。
「つまり、みんなで声を合わせて歌うってことか」
「漲水は地名?」と尋ねると高松の学生さんが、すぐにスマートフォンを取り出してネットで調べます。

 漲水ぬクイチャーは、雨乞(あまごい)のための歌でした。 川の無い宮古島では、農作物が無事に育つためには雨だけが頼りでした。雨が降らなければ生活が豊かになれないので、一生懸命雨が降りますようにと祈り続けたのが宮古島の歴史です。船着場に運び込まれる砂や大神島に寄せるさざ波のように、めぐみの雨に満たされて収穫や機織用の糸が途切れることなく手に入ることを願った歌です。
しかし、この漲水のクイチャーは、人頭税という「世界でもっとも残酷な税」といわれる首里王朝が宮古八重山地方の人々にかけた重荷を自分たちの力で取り払ったときの喜びと怒りと願いが込められた歌だという。

なるほどね。しかし、「CDにはその曲がないけど、踊りながら歌えるの?」
「それはちょっと無理でぇー・・・」
また、すかさず高松の学生さんがYouTubeで「漲水ぬクイチャー」を探し当て
「これ流したらええやん?」と提案してくれました。が、会場が広いのでスマートフォンでは音量が足らないという話になりました。
しばらくして、宮古島の学生さんが、
「宮古の家族に頼んで送ってもらうよう連絡しようねぇー。」
「家に民謡のCDがあるんだ」
「いえ、ないので宮古のレンタルショップで借りて、コピーしてすぐに送ってもらいます。」「家族の方は大丈夫?」
「はい、大丈夫」と相談なしに即決。

もう一つ気になることがありました。それは衣装です。白衣で踊っても今一つ盛り上がりに欠けるだろうと告げました。するとそれも、CDと一緒に家族に送ってもらうことに決まりました。高松の2人はどうするか・・・。私の手持ちの絣と上布の着物を用意することにしました。

レクリエーションの当日まで、実習が終わってから4人で踊りの練習に頑張っていました。国家試験が近い時期なので、試験に直接関係のない事柄は避けて通りたいと考える学生もいるなか、全力投球で準備をしていました。参加していただく皆さんに、楽しみながら沖縄のことを伝えるために、クイズを用意していました。さらに、サーターアンダギーという沖縄の揚げ菓子を味わって頂く計画も追加されました。30分間のレクリエーションに、驚くほどこころを尽くしていました。頼もしいと思いながら、国家試験の勉強は大丈夫か?という思いがよぎります。

いよいよレクリエーションの当日、会場には多くの利用者さんが集まってくれました。ありがたいことに、施設の職員さんも参加して手伝ってくれました。しかし、用意したクイズに対して、認知症の利用者さんから、学生が想像していた反応が返ってこず悪戦苦闘する場面もありました。サーターアンダギーは喜ばれましたが、経管栄養の利用者さんの視線に気づき、戸惑う表情を見せていました。後半は気を取り直して「漲水ぬクイチャー」を踊ります。

はじける三線と響く太鼓の軽快な音楽が流れると、クイズの時間はうつむいて居眠りしていた人が目を覚まして頭をあげます。音楽に誘われ、着物姿の学生の踊りに刺激され、皆さん次第にノリノリになってきました。終了予定時間が過ぎても、参加している皆さんのあまりにも楽しげな様子に、終わりのきっかけを見つけられない学生は、何度もCDを再生しました。「金毘羅ふねふね」の曲がいつ終わるかわからないような、そんな陶酔感がじわじわ波紋のように広がり、会場には温かい宮古島の風が吹いています。

そこに、一人の意識がはっきりしない女性の利用者さんがリクライニングの車椅子で運ばれてきました。私が長年口腔ケアを続けてきたSさんです。偶然にも彼女も宮古島出身でした。宮古島の学生さんと話しが出来たらどれほど懐かしいだろうと思っていたのですが、脳梗塞の再発で入院されていたのです。ところがレクリエーションの3日前に帰ってきました。しかし、鼻から栄養摂取のためのチューブが通され、顔はむくみ、意識もはっきりしない状態が続いていました。車椅子に座りマイクを持って、大好きなカラオケを歌うSさんの姿を知る誰もが、辛いものを感じていました。そんなSさんを、一人の職員さんが部屋から連れ出してきたのです。その様子を遠目に見ていると、「目あけて,拍子とっとる。」と誰かが声をあげました。周りの人たちと一緒に学生と私も駆け寄りました。彼女は目を見開いて、頭を動かして、しっかりと拍子を取っています。

「分かる?この歌わかる?」と職員さんが声をかけると、
「わかるよー」と言う言葉が出ると同時に、一筋の涙がこぼれ落ちました。
彼女を看ていた看護師さんも「宮古島の曲やねー」「よかったー」と言いながら目頭を押さえて喜びました。隣で同じようにリクライニングの車椅子に寝ていた男性は「魂がもんてきたわぃ」とつぶやきました。この出来事に遭遇した学生は、言葉を失っていました。が、落ち着きを取り戻してSさんに付き添い、部屋でしばらく一緒に「漲水ぬクイチャー」を聞きながら掛け合いを口ずさんでいました。

 

レクリエーションは無事終了し、施設実習の反省会ではSさんの出来事も話題になりました。施設の方の、「学生の皆さんのおかげですね。私たちも勉強させられました。」と言う言葉に、学生は「そう言われても、あれはたまたま偶然です。」と、困った表情でした。施設の方は学生さんの取り組みを褒めて下さいました。もちろんそれはそうなのですが、そもそもこの施設がこのような出来事が起こるような場所であったのだと、私は思うのです。

それは、他の施設より看護や介護の技術が特にすぐれているとか、ホテルのようなお客様対応であるとかではない。ただ一緒にご飯を食べるようなこと。利用者さんがボロボロご飯をこぼしても、「あー、ここに鶏がいたらむちや喜ぶでー」と言いながら、普通に毎食後床の掃除をするとか。なんでもレジ袋に入れて積み上げる人の紛失物を、「もー、どこに入れたんなー」と文句を言いながらも一緒に探すとか。若い女性が好きそうな人の部屋に、誰かわからないがお色気のあるカレンダーをかけるとか。そのような何気ない自由で優しい日常生活が当たり前に営まれているという事こそが大切であり、きっと、この施設であったからだからこそ学生は素敵な経験をすることができたのだと確信しています。

沖縄から来た学生さんは「何とかなるさ」という事を方言で「なんくるないさ」と言う。単なる楽観的な逃げ口上かと思っていたのだが、そうではないという事を宮古島の学生さんに教えてもらった。「まくとぅそーけー、なんくるないさ」ということで、その意味は「まことのことをしていれば、何とかなるさ」だそうだ。まさに、この実習がそうだったと思う。

学校の中では見えない学生の人となりが、場所が変わったらこんなに生き生きと表現されるのだと改めて感じた。また、そこを見抜けなかった自分の貧しさを思い知った。本当に情けないことである。が、それは晴れ晴れとした喜びが湧いてくる情けなさである。今年は、こんな学生をはぐくみ育てた宮古島を訪ねてみようと思う。

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「回心 イエスが見つけた泉へ」読書会

師:私は最近体調がよくないね。特に朝、手に力が入らない。

弟子:そうですか、スカッとしないですね。
リンパが滞る感じでしょうか。

師:そうだね・・・。
健康と病気はどういうことかね?

弟子:WHOの概念では、身体的、精神的、社会的に良好な状態ですが・・・
自分自身のことを振り返っても物心ついた時から重症アレルギーで、
全く健康だったことはないし。
かと言って、健康でないとも言えない・・・

完全な健康って、幻想だと思うな。

師:両者の関係はどうなっている?

弟子:うーーーーーん
健康の中にも常に病気って含んでいるし
病気の中にも健康が含まれているし・・・

ナイチンゲールは、すべての病気は回復の過程と考えていたのですが、
その感じは私にはなじみます。

師:対立しつつ含みあう関係だと思うね。
生と死もそうだね。

弟子:誰もが気づくと気づかないとは別に、やんでいると事ってありますよね。
そこで、健康を考えるとは幻想に向かって歩むという事でしょうか。

師:<微笑>
私の師匠、八木誠一先生の『回心 イエスが見つけた泉へ』を読みましょう。

これは人間の主体の交替、つまりどうしたら人間は悟れるかについて書かれたものです。
キリスト教では、回心とというんだね。

弟子:悟りは禅僧のように並々ならぬ努力をしたり、
クリスチャンならミサに預かったり、救済の物語を信じ洗礼を受けた人に起こる。
もしくは、正命を唱える人。
私にはどれもなじみません。

師:慌てずに、読みましょう。第4章1です。

本章では先立つ諸章をまとめながら、「主体の交替」すなわち回心について述べておきたい。「まとめ」という性質上、すでに述べたことを繰り返しさらに展開する場合があることをあらかじめお許しいただきたい。実は本来ならば、本章では「どうしたら主体の交替が起こるか」を述べるべきなのだが、思うに「こうすれば必ず主体の交替が生起する」という方法は存在しない。それは統合体には必然的因果関係が妥当しないからである。こうすれば、必ずもろもろの病気も治り、健康も維持できるという方法がないのと同じことだ。しかし、だからと言って健康のために何もできないことはないし、そもそも健康とはいかなる状態かを知ることは健康維持の上に無益ではあるまい。本章はそういう意味で、「主体の交替」について述べることになる。

 

師:単なる自我の迷いからの悟るとは、悟りとは「統合」「直接経験」のことだと
誠一先生は語り続けてきました。キリスト教では、この作用変換を聖霊の働きと
言っています。

弟子:言葉が難しいですが、
ナイチンゲールは健康を統合と考えていたような気がします。
ということは、悟りとは看護の出来事が立ち上がる地平ですね。

師:嘘のないことが悟りと言ってもいい。

弟子:単にマニュアルに従ってケアをするのではなく、
目の前に人の必要(ニーズ)に促されて自然にケアしてしまう。
それが、私が仕事で感じる「直接経験」なのですが・・・

そう自分で思っていても、単なる自我がそう思い込んでいるのかもしれないという
不安はあります。なんせ、私の単なる自我は根が深い<苦笑>

師:今から、そういうことを勉強していきましょう。

弟子:先生の愛犬レナちゃんや、我が家のリリちゃんは嘘がないです。孫の悠くんも。

師:ヒントにはなるね。

弟子:歯科衛生士の仕事は、健康(=統合)を考えることなしには成り立たないので、
仕事することが修行になるような気がします。

仕事が悟りの実践にならなければ、本当のケアではないと言えるでしょうね。きっと。
ケアとは、統合の回復を支援することですから。

 

<読書会のご案内>

興味にある方、ご連絡ください。
月2回、土曜の午後八木洋一先生指導のもと開催します。
クリスチャン向けというものではありません。

八木誠一著『 回心 イエスが見つけた泉へ』ぷねうま舎
 2016年 246頁  2700円 

 回心とは何か。宗教の根源にひそむものへ、独自の思考の道を切り開いた宗教哲学者が、   渾身の力で書下した21世紀への遺書。

■ 何かが決定的に更新されること、堅固と思われていた自我の基盤がくつがえること、
  その実態とはどんなもので、この現実とそれはいかにかかわるのか。

  主体の交替、フロント構造、統合……自ら編み出した概念の枠組みを駆使して、
  根本的な転換と覚醒の実像に迫り、その光をもってこの世界のありうべき未来を
  照らし出す。

  イエスが指さした泉、それは宗教・宗派を問わず、誰にでも開かれている。

 

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咀嚼刺激の低下が記憶・学習機能を障害するメカニズム解明

医科歯科大ら、咀嚼刺激の低下が記憶・学習機能を障害するメカニズム解明

東京医科歯科大学は、成長期における咀嚼刺激の低下が記憶を司る海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすことを突き止めたと発表した。

咀嚼機能と高次脳機能の連関メカニズム(出所:東京医科歯科大学プレスリリース)

同研究は、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の中島友紀教授、小野卓史教授、福島由香乃研究員らの研究グループと、神戸大学医学研究科の和氣弘明教授との共同研究によるもので、同研究成果は、米国東部時間6月16日付で国際科学誌「Journal of Dental Research」オンライン版に発表された。

加工食品などの柔らかく栄養価の高い食品が普及することによって、現代人の咀嚼回数は劇的に減少しているという。成長期に咀嚼回数が低下すると、顎の骨や噛むための筋肉(咀嚼筋)だけでなく脳の発達にも悪影響を及ぼすことが知られており、また、加齢に伴い歯を失うことによって咀嚼機能が低下すると、認知症のリスクが高まることも分かってきた。しかし、咀嚼機能と高次脳機能の関係には不明な点が多く残されており、記憶・学習機能をはじめとした脳機能の障害を予防するために、咀嚼機能と脳機能がどのように関係しているか、それらの分子メカニズムを解明することが重要な課題となっている。

同研究グループは、マウスに離乳期から成長期にかけて粉末飼料を与えることより、咀嚼刺激を低下させるモデルの解析を行った。その結果、粉末飼料を与えたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウス(対照群)と比べ、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制され、記憶・学習機能も顕著に障害されることが見いだされた。そこで、記憶・学習を司る脳領域である海馬を解析したところ、それらのマウスでは神経活動やシナプス形成、脳由来神経栄養因子(Brain derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が低下し、神経細胞が減少していることが明らかとなった。

以上のことから、同研究では、成長期に咀嚼刺激が低下すると、顎骨や咀嚼筋の成長と記憶・学習機能が障害される可能性が見いだされた。同研究の成果は、記憶・学習機能障害や認知症の予防において咀嚼機能の維持または強化が有効であることを示唆している。将来、ヒトを対象とした研究を含め咀嚼機能と脳機能を結びつける分子メカニズムがさらに詳細に解明されることによって、認知症や記憶・学習機能障害の新たな治療法や予防法の確立につながることが期待されるということだ。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。2017/06/20 10:56:32 マイナビニュースより

 

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丸亀市牛島に行ってきました

http://www.footprints-note.com/guesthouses/shikoku/12 より

知る人ぞ知る夢の島、牛島。島の周囲4km、人口2世帯20人未満の瀬戸内海に浮かぶ小さな離島。そこにある一軒家貸切型のゲストハウス。4名~の利用で、割ると1人あたり3000円。島に食材を持込み自炊制。築150年の古民家を修繕。大自然溢れるお庭付き、どこか懐かしい理想の故郷のような宿。この島で生まれた日本人女性とアメリカ人男性のご夫婦で穏やかに運営されている。カヌーも楽しめ、食材持込みでBBQも可能なため、夏は毎年100名以上、各国からの来客がある。

◎ 運営するのはこの島出身の横山敬子さんと、アメリカ出身のバンボルケンバーグ・カートさんご夫妻で運営。宿の近くにはお二人のお住まいもあり、服飾デザイナーである敬子さんのアトリエも。カートさん手作りのカヌーもあり、理想的な夫婦島暮らしです。

◎ 交通は丸亀港から連絡船で約15分。ただ、一日一便、人数が多ければ海上タクシーを利用するほうが安いかも。海上タクシーは1船1万円。

で・・・・・

写真の右側に見える新しい、ゲストハウスに行ってきました。

毎年春に、大阪の歯科衛生士さんと集まります。
お付き合いは、35年になりますか・・・( ^ω^)・・・
昨年までは金毘羅歌舞伎に行ったのですが、今年は趣向をかえ、
島民9人という、丸亀市の牛島に行ってきました。

再開を喜び、あとはいつもの歯科衛生士活動の報告やら、研修会のおはなしが終わることなく
続きます。これでまた1年、仕事ができる!!

そうそう、今回の発見は、みんな飲めなくなったこと!!
お酒の燃費が良くなりました!!
年を取るといいことがあります。

私がこの島で歯科相談を行う公民館へ行くと、写真展が開催されていました。

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格差社会の歯科保健医療

「根底に貧困や認識不足」歯科治療放置の子5割

千葉県内の公立小中学校と特別支援学校で行われた歯科検診で「要受診」とされた児童生徒のうち、52・5%が未受診のままだったことが、県保険医協会(千葉市)の調査でわかった。

口腔こうくう状態に問題がある子供がいた学校も54・4%に上り、「口の中が虫歯で真っ黒」など深刻な事例も報告された。同協会は「根底には貧困や歯科医療の必要性の認識不足があるのではないか」と指摘している。

 同協会には県内の医師や歯科医師約4000人が加入。同様の調査は全国で進められており、県保険医協会は今回初めて実施した。

 同協会は昨年10~12月、県内の公立小中学校と特別支援学校計1220校にアンケートを送り、養護教諭の協力を得て、約4割の454校から回答を得た。

 それによると、2016年度(一部は17年度)に学校で歯科検診を受けた約15万5300人のうち、約4万7200人が要受診と診断された。その後、52・5%にあたる約2万4800人が受診しないままだった。

 学校種別の未受診率は小学校が46・5%、中学校が70・1%、特別支援学校が60・1%。同協会は「年齢が低いと保護者の関心も高いが、中学になるとおろそかになるのではないか」とみている。

 一方、15~16年度に歯科治療を受けられず、口腔の健康状態に問題がある児童生徒に出会ったことがあるかという質問では、247校(54・4%)が「ある」と回答。▽7~8本以上の虫歯がある▽歯の根しか残っていないような未処置の歯が複数ある▽痛みや腫れがあっても治療しない――といった報告が寄せられた。

 また、家庭環境については、▽一人親家庭で保護者が仕事で忙しく、受診できない▽保護者が保険料の支払いをしておらず、保険証がない生徒がいた▽外国籍の家庭で意思疎通が難しい――という回答もあった。

 各自治体には子供向けの医療費助成制度があるが、同協会の担当者は「さらに拡充させるべきで、歯科医療への理解を深めてもらう啓発活動も進めていく必要がある」と指摘。その上で、「家庭の事情で治療したくてもできない子供もいる。地域の人に付き添ってもらえるような仕組みが作れれば」と話している。

2018年05月03日 16時02分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
さて、歯科医療の最先端はすごぶる勢いで進歩しています。
しかし、地域歯科保健に関わっていると、
歯科医院の常識では考えられない状況に出くわします。
例えば小学校3年生の男の子。お父さんと二人暮らしで、その父親は長距離トラックの運転手。
白いはずの制服も、上履きも、際立って黒い。
私の授業で、歯ブラシを忘れていました。
唯一の家族であるお父さんは、北海道まで行っているので、2日間帰ってこないそう。
歯ブラシのないことを注意せず、頑張って一人で起きて学校へ来たことを褒めました。
勿論歯ブラシはこちらで用意していますから、そっと渡します。
担任の先生は、平等に注意しているのですが・・・
単に自己責任では収まりません。


先進国と言われるこの日本で、歯科受診しない人は置き去りです。
歯科衛生としての私は、口腔ケアも含めなぜかこちらに引き寄せられてしまします。

10年のお付き合いだからこそできる、本音の保健活動があると信じて
今年も、丸亀市の離島をできるだけくまなく訪問します。

遠い親戚より、私にとって親しみのある皆さんです。

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口腔ケア用品の展示

ゴールデンウイークは、例年大掃除です。
断捨離も続いております。

口腔ケアを他職種の方や一般の皆さんに紹介していた時のものです。

今のような手軽なパワーポイントではなく、スライドの時代でした。
また、現物に触れていただきたいと思って展示していました。

黒いプラスチック段ボールに、強化両面テープを使って張っています。

歯間ブラシも一般的ではありませんでしたから、
スポンジブラシなどほとんどの方が知らなかった。
もちろん、くるリーナブラシもない時代でした。

スポンジブラシがないころは、割りばしの先に綿花をつけ、それをガーゼで包み、
デンタルフロスで止めたものを使っていました。
夜なべして作り、それを持って訪問に行っていたのです。

吸引くるリーナブラシが、普通に一般の要介護者の枕元にある状態は
想像できなかったのです。
昭和の話です。

平成が終わりますが、くるリーナブラシも笑える時代が来るのでしょうか。

プラスチック段ボールは、プラダン養生シートとも呼ばれ、ホームセンターにあります。

軽くて持ち運びに便利です。

この手間のかかる手仕事は、仕事や生活に工夫する力をつけてくれていた気がします。

理学療法士の三好春樹さんは、介護の本質はブリコラージュと言います。

子育ても、訪問口腔ケアの仕事も、自分自身が生きる事も、ブリコラージュ!!

以下、ウイキペディア

ブリコラージュ(Bricolage)は、「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕する」こと。「器用仕事」とも訳される。元来はフランス語で、「繕う」「ごまかす」を意味するフランス語の動詞 “bricoler” に由来する。

ブリコラージュは、理論設計図に基づいて物を作る「エンジニアリング」とは対照的なもので、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ることである。

ブリコラージュする職人などの人物を「ブリコルール」(bricoleur)という。ブリコルールは既にある物を寄せ集めて物を作る人であり、創造性と機智が必要とされる。また雑多な物や情報などを集めて組み合わせ、その本来の用途とは違う用途のために使う物や情報を生み出す人である。端切れから日用品を作り出す世界各国の普通の人々から、情報システムを組み立てる技術者、その場にあるものをうまく使ってピンチを脱するフィクション神話の登場人物まで、ブリコルールとされる人々の幅は広い。

フランス文化人類学者・クロード・レヴィ=ストロースは、著書 野生の思考1962年)などで、世界各地に見られる、端切れや余り物を使って、その本来の用途とは関係なく、当面の必要性に役立つ道具を作ることを紹介し、「ブリコラージュ」と呼んだ。彼は人類が古くから持っていた知のあり方、「野生の思考」をブリコラージュによるものづくりに例え、これを近代以降のエンジニアリングの思考、「栽培された思考」と対比させ、ブリコラージュを近代社会にも適用されている普遍的な知のあり方と考えた。

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いろ歯かるた

増えすぎた物を断捨離しております。

地域歯科保健で使っていたものも、思い切って処分しています。
倉庫から、懐かしい「いろ歯かるた」が出てきました。

当時はカラー印刷が非常に高価でしたので、塗り絵式にしておりました。

それを、黒のペンキで塗ったべニア板に張り、健康展で展示したり、
学校や施設にお貸ししていました。

もちろん、お買い求めいただいて手作りしている方もいらしゃいました。
最も素敵に塗り絵なさっていたのは、丸亀市の横瀬歯科医院の待合室に展示していたもの。
感動的でした。私のものと同じかるたとは思えなかった。<苦笑>

読み札と、読み札の裏の説明文は同じで、絵を新しくしたものが、ホームページからダウンロードできます。約5000回ダウンロードされております。

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