抗がん剤治療による口内炎は辛い!

 大分県歯科医師会(長尾博通会長)と大分大医学部付属病院(野口隆之病院長)は、今月から、がん患者に対する歯科医療について連携することになった。付属病院のがん患者に一般の歯科医院で受診してもらい、感染症の予防などを図る。
 県歯科医師会や付属病院によると、例えば、口の中が清潔ではないと、全身麻酔のために口からチューブを入れた際に肺炎を引き起こす恐れもある。
 がん治療に口腔ケアや歯科治療を取り入れることで肺炎などの感染症を予防できるといった効果が期待でき、入院日数を短くすることにもつながる。
 今後、歯科医師会の会員を対象に、がん治療と口腔との関係など連携に必要な知識を身につける講習会を実施。修了した歯科医に、がん治療前や退院後に治療を施してもらう。付属病院には歯科口腔外科があるものの、がん患者は年間約2000人にも及び、付属病院だけで対応することは難しく、県歯科医師会と連携する必要があると判断したという。大分市の県歯科医師会館で16日、長尾会長と野口病院長が連携についての合意書に調印した。                             (2013年4月24日  読売新聞)

日本中でこのような連携が進んでいますね。

永山ブラシ

永山US

先日、抗癌剤治療を受けている患者さんが、
口内炎で水も飲めない!と苦しんでいました。
柔らかい歯ブラシで歯を磨くようにと指導されたが、痛くて無理とのこと。
使っている歯ブラシを見せて頂くと、結構毛が硬い。

「これでは痛いですよね!!大変でしたね。」

永山のホームケア―US(ウルトラソフト)を差し上げました。

毛先が、歯茎に、直角に当たらないようにそっと磨いてみて。」
(チャーターズ法+スクラビングの感じ)

「すごい!!これなら磨ける。」

「普通の歯ブラシより時間はかかりますが、歯垢は落ちますよ。
また、歯を磨くことで唾液も出やすくなります。」

柔らかい毛と言っても、その幅は大きい。
漠然としていてDHの思いが患者さんに伝わらないことがあります。

患者さんがスパーで買ってくる柔らかい歯ブラシは、
永山のホームケア―US(ウルトラソフト)に比べると、相当硬い。
同じUS(ウルトラソフト)でも、毛が長いものの方が当たりがやさしい。

歯磨きが、痛くて辛い患者さんの歯ブラシ選びには、
実物を見せて、毛にも触れてもらうことが大事です。

また、一般的に看護師さんは、このような歯ブラシの選択はできない場合が多いようです。
専門性が違うから仕方がない。
しかし、看護師さんにもこの情報を伝えると、救われる患者さんは沢山いるはず。

日々思うこと 41件のコメント

訪問口腔ケアの授業(1)

訪問口腔ケアの授業の第一回で、
最も伝えたかったこと。

介護は、3Kの仕事、割りの悪い仕事・・・・
マイナスイメージが多いですが、
動物の中で介護をするのは人間だけ。
実は人間らしい仕事だと思うのです。

口腔ケアの定義として、次の二つが一般的に挙げられています。
<狭義>
  口腔衛生管理に主眼をおいた、一連の口腔清掃と義歯の清掃 (器質的口腔ケア)

<広義>
  口腔のあらゆる働き(摂食、咀嚼嚥下、構音、審美性、顔貌、唾液分泌機能、etc)を
  健全に維持又は介護すること (機能的口腔ケア・口腔リハビリテーション)

しかし、私としてはここでもう一つ、挙げたいと思うのです。

<深義>  人間と人間の深いコミュニケーション

「老い」や「病」や「障害」は人々に順番に回ってきます。
植物の芽が出、花が咲き、種を残して枯れていくように、自然の営みなのです。
自分には遠い出来事だと思っていると、
あなたやあなたの近くに回って来ているかもしれん。
何か物悲しく、手助けが欲しい心境に陥ったとき皆が暖かく手を差し伸べてくれる社会、
平等を肌で感じられる社会、その一翼を私たちはみんなで担っています。

シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、こんなことを語っています。

<老い>
人間がその最後の15年ないし20年もの間、
もはや一個の廃品でしかないとい事実は、
我々の文明の挫折をはっきりと示しています。 

<人生の究極的意味>
もし我々が老人たちを動きまわる屍と見なすのではなく、 

それぞれの人間の生活をその背景にもつ人間と考えるならば・・・。    
・・・その最も恵まれない人々の境涯に努力を集中することによって、

人はある社会を根底から揺さぶることに成功するのです。    
                           <老い(上巻)人文書院>

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

日々思うこと 42件のコメント

歯科医院で7千人がHIVや肝炎感染の恐れ 米オクラホマ州

(CNN)2013.03.29 Fri

 米オクラホマ州の歯科医院で過去6年間に診療を受けた患者約7000人が、エイズウイルス(HIV)や肝炎ウイルスに感染した可能性があることが分かった。衛生当局が28日に明らかにした。

問題が発覚したのは同州タルサで歯科医院を営むスコット・ハーリントン医師。タルサとオクラホマ州の衛生当局による共同調査が開始された時点で、同医師は自主的に診療を中止した。タルサの当局によると、同医師は弁護士を通じて調査に協力しているという。

タルサの衛生当局は調査の詳細を明らかにしていないものの、同院での薬剤の管理や使用に関して、州当局などから支援を受けていると発表した。

州歯科委員会によれば、調査の結果、ハーリントン医師の診療行為には膨大な数の安全基準違反があったほか、州の歯科関連法令に対する重大な違反があったことも分かった。調査は多方面から行われ、現在も続いている。

2007年以降にハーリントン医師の診療を受けた患者には告知状が送られる。当局は対象者に、B型肝炎、C型肝炎、HIVの検査を受けるよう呼びかけている。ただしこうした環境でウイルスに感染することは極めて稀だとも指摘した。

当局によれば、患者の記録が残っていたのは過去7年分のみだった。2007年より前にハーリントン医師の診療を受けた患者には、告知状が届かない可能性がある。

当局は30日から無料で検査を受け付ける。告知内容について電話で問い合わせるためのホットラインも設置された。

木の芽

日々思うこと 52件のコメント

『なぜ、「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか?』

『なぜ、「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか?』
 星 旦二著  ワニブックス新書 840円

第1章 データが語る、かかりつけ歯科医をもつ人の特性
第2章 かかりつけ歯科医は何をもたらすのか
第3章 かかりつけ歯科医をもつ17人の体験談
第4章 よいかかりつけ歯科医と出会うために
第5章 口腔ケアのあり方で日本人の未来は変わる—座談会
    (社)東京都港区芝歯科医師会・芝エビ研究会所属歯科医からのメッセージ
第6章 予防歯科の専門家である歯科衛生士—その役割と課題とは
かかりつけ歯科医とプライマリ・ケア
   医師からのメッセージ—寄稿 帝京大学ちば総合医療センター地域医療学・井上和男 かかりつけ歯科医」のいる人は長寿

歯科衛生士概論の授業では、学生の皆さんに「かかりつけ歯科衛生士」を目指せ!
優秀なかかりつけ歯科衛生士は、口腔疾患だけではなく、生活習慣病を予防する。
歯科衛生士は口腔衛生を通して、人々の健康で幸せな人生を支援する仕事である。
なんと素晴らしい仕事だろうか!!と申しております。
また、本田のいつもののたわごとか、耳にたこができる!と
文句を言いたい学生さんも多いと思います。
しかし、これは本田のたわごとなどではなく、エビデンスがある話しののです。

まあ、私はエビデンスを気にせずしゃべっておりましたが<笑>

この、『なぜ、「かかりつけ歯科医」のいる人は長寿なのか?』は、
「かかりつけ歯科医をもつ」人ほど寿命が延びるとともに、要介護にもなりにくいということを、1.3万人の追跡調査によって明らかにした記録であります。

「かかりつけ歯科医をもつ」ことと、健康長寿の直接的な関係は明らかではありませんが、信頼できる歯科医院で受ける、PMTC TBI 食生活など生活全般の保健指導により、
<健口⇔健康⇔健幸>の好循環が生まれ、健康寿命の延伸に繋がるのでしょう。
このほとんどを担うのが、私たち歯科衛生士です。よい歯科衛生士と出会えるかどうかが、人々の寿命を決定すると言って過言でなないと思います。
歯科衛生士って、自分自身が一番お得ですね。

この本の研究は「芝エビ研究会」の研究活動の成果だと著者の星さんは述べています。
「芝エビ研究会」とは、東京都港区の芝地域で開業、または病院に勤務している歯科医師の団体である社団法人東京都港区芝歯科医師会から世界にエビ デンス(科学的根拠)を世界に発信しようという趣旨で開始された研究会だそうです。

いいネーミングですよね。

日々思うこと 47件のコメント

歯科衛生士の感動物語

歯科衛生士感動物語YouTube

www.youtube.com/watch?v=hi1M7AcCAgA
2010/08/01 – アップロード元: norikodc

歯科衛生士が経験した、感動ムービーです

歯科衛生士概論の授業で、新入生と一緒見まーす。
日々思うこと 45件のコメント

春のお土産・土筆

毎週土曜日、多度津のTさんを訪ねて口腔ケアをしていますが、
今年の4月で、3年目の訪問となります。

Tさんの奥さんの実家は、我が家と同じで、満濃池の近くだそうです。
ですから時々、田舎暮らしの楽しみについての話しに花が咲きます。
ふきのとうのほろ苦さがたまらないとか、
ふきの若い葉を佃煮にすると美味しいねとか。
「わらびを取りに行きたいわ。昔はよく行ってたのよ。
 でも、今の生活ではその余裕がないなー。」

Tさんのお宅の玄間やトイレ、棚などちょっとしたところに
お花が生けられています。
花屋さんで買ってきた豪華なバラとかではなく、
庭に咲いている花一輪だったり、山野草。
風情ある茶花といった感じです。

朝の散歩をしていると、田んぼの畦道に土筆が頭を出していました。
これを見ていると、Tさんのことが浮かんできましたので、
お土産に持っていくことにしました。
Tさんというより、介護している奥さんのためにですね。
持っていくと「かわいいわねー。最近、土筆なんて見ることないわ。」と
喜んで下しました。

訪問では、介護をしている方とのコミュニケーションも大切にしています。

介護を受けている方の元気は、介護をする人の元気に左右されるのです。

土筆の鉢植え

日々思うこと 49件のコメント

六車由美著『驚きの介護民俗学』

‘13.4.8 No16 増大号 アエラ  P56 ~60
現代の肖像 で、民俗研究者の六車由美さんが紹介されていました。

六車さんは、大学教員を辞めて介護の世界に飛び込んだのですが、
そこは、大学でのヒールドよりも「宝」に溢れていたと言います。
六車さんのことはまったく知らなかったので、興味津津。
さっそく著書を取り寄せ読んでみました。

驚きの介護民俗学シリーズケアをひらく『驚きの介護民俗学』医学書院  2,100円

アマゾンから送られきて、<シリーズケアをひらく>のシリーズだと知りました。
どれも大変共感できるこのシリーズは、私にとって大切な本ばかりです。

民俗学で大学の準教授であった六車さんは、サントリー学芸賞を受賞した方です。しかし、大学を辞め、老人ホームの介護職員として働き始めます。そこで、利用者さんと関わる中で、皆さんが思い出す民族事象について聞き書きするようになります。それを「介護民俗学」と呼び「民族研究者が介護現場に身を置いたときに見えてくる物は何か、そして民俗学は介護現場で何ができるのかを考えて行くために私が掲げた名称」(P20)と定義しています。その手法で利用者さんから聞いた話を「思い出の記」にまとめ、本人や家族に渡していることも紹介されています。素晴らしい仕事だと、大変共感をもって読むことができました。

六車さんは最後に、民俗学を学んだ学生の働く場として、介護現場の可能性を考えています。しかし、その手腕を発揮して活躍する余裕のない、現行の介護現場におけるジレンマについても語っています。そして、日本の介護について、以下の野千鶴子の辛辣な言葉を紹介している。

「ケアワーカーの賃金はなぜ安いのか」
その背景には、介護報酬を低く抑える政府と、労働者の賃金を上げようとしない事業者の存在があるが、それを許しているのは、つまるところ、ケアワークの社会的評価をその程度に低く見ているという国民の意識があることを指摘している。「自分は受けたいが、自分からやりたくない労働」というのが、ケアワークの実態から浮かび上がって切る。

六車さんが「介護民俗学」として利用者さんの語りを聞きとるのは、私が口腔ケアをしながら患者さんと話すことと似ていると感じました。嬉しかったのは、私が抱いていた福祉の談援助や回想法に対する違和感を、「介護民俗学」と対比して言葉にしてくれていたことです。しかし、この「介護民俗学」としての聞きとりも、私には違和感を感じるのです。
では、私が口腔ケアのときに大切にしている、コミュニケーションは何だろうか?
それは、福祉やカウンセリングの技法としての「傾聴」でも、「回想法」と名付けられた決まったシステムでもない。そして、利用者さんと「介護民俗学」の対象として関わることでもない。普通の人がする、たわいもない日常会話だと思うのです。私たちが楽しむおしゃべりは、何の目的もなく、あえて言えば会話するそのこと自体が目的です。それは出会った人が、相互に一瞬一瞬作り上げていく世界です。何が始まりどこに向かっていくか分からない、そんなこと考えもしない。そこに、井戸端会議の楽しみとパワーがあるのではないでしょうか?
ですから、疲れ果てていても、おしゃべりすることで元気になる!!

もちろん、口腔ケアは専門職としてのケアサービスです。しかし、それが成り立つのは、本来的な人間同士の営みとしての関係があるからでしょう。「傾聴」と言わなくても、私たちは普通に興味あることは「なぜ?どうして?」と尋ねます。そのような、当たり前の会話を大切にしたいと思うのです。もちろん、患者さんであることや、失礼のないことに気遣いをしながら関わるのは常識です。そんな会話だからこそ、口腔ケアのヒント・介護のヒントが満載なのです。たわいもないおしゃべりから、ケアのヒントを発見するのが、職種に関係なくケア―ワーカーの専門性だと思います。

日々思うこと 44件のコメント

訪問口腔ケア患者Mさん(8) <呼び方>

Mさんの名前には、<光>と言う字がついている。
「いい名前ですね」というと、
「いいでしょ。私が生まれた瞬間、父に光がワーッて射しこんだんだって」
「へー、すごいわね。光の子か。神の子みたいやね」
「そんないい人生じゃなかったわ。」
「神の子イエスも、辛い人生という感じがするけど・・・」
「そう言われればそうね。
 父は名前の画数とか考えていなかったのよ。見てもらったら、画数が悪いのよ。」
「そうなんだ・・・。でも、Mさんの好きな英語なら気にしなくていいんじゃない?」
「ハハハ、それは、そうかもしれない。」
「お父さんは、霊的な方だったの?」
「そうね、いろいろ見えたみたい。でも、決して人様には申し上げませんよ。」
「へー、・・・」

「○○さん、皆からなんて呼ばれていたん?」
「いろいろね。場所によって、○○さんとかMちゃんとか・・・」
「どれが気に入っているの?」
「別にどれでもいいわ。」
「じゃー、どれが一番自分らしいとおもう?」
「そりゃー、光のMちゃん」
「じゃー、私もそう呼ばして頂いていいかしら。」
「いいですわよ」

かくして私は、Mさんを光の「Mちゃん」と呼ぶようになった。
Mちゃんは、施設の方が私を先生と呼ぶが、
最初から「本田さん」と呼んでくれている。
いい感性だなーと、嬉しくなる。

障害者歯科の本には、高齢者・障害者に対して子供みたいに
○○ちゃんなんて呼んではいけない。きちんと、○○さんと呼ぶべきであると書いている。
大変、倫理的なご意見である。

私も以前、障害者の診療所で働いているとき、注意されたことがある。
そのときは、雰囲気で「きょっちゃん」とか「おばーちゃん」など
何も考えずに呼んでいた。
それは、患者さんを人格として人として大切にしていない態度だと注意された。

そうかなー、日常的に○○ちゃんと呼ばれている方なら、
<もちろん本人がそれを受け入れていることが前提>
○○ちゃんでいいんじゃないかと、違和感を感じたのです。

どうも、猫も杓子も○○さんとか、患者様と呼ぶことが
患者さんを人として大切にしているとは考えられなかった。

どうしよー
そこで、新しい患者さんには「何ってお呼びしましょうか」と尋ねることにした。
ご本人が何も言わないときは、家族や施設の方に、どう呼ばれるのか好きかな?と尋ね
決まったら、
カルテの氏名の横に鉛筆で<○ちゃん>とか<△さん>とメモっていた。
歯科医の先生に患者さんのことを伝える時は、「○○さんは・・・」と言い
患者さんと話すときには「△ちゃん」。

障害者歯科診療は、ほとんどの患者さんが3ヶ月おきに、
何年も何十年もリコールに来る。
長ーいお付き合いが始まるのですから、呼び方は大切だと思います。
呼ばれる方だけでなく、呼ぶ方だって、自然でしっくりくる呼び方をしたい。
訪問口腔ケアはそれ以上に呼び方を大切にしたいと考えている。
だって、週に一回のお付き合いが一生続くのですから。

虹

 

日々思うこと 52件のコメント

続、茜色のケアに助けられて・教えられ!

 <あかね>の患者さんに、難聴の方がいます。
ですから、耳元で大きな声を張り上げて会話しています。
メガホンを耳にくっつけて話したりもします。

この方は、歯磨きを手伝おうとしたら、自分ですると仕上げ磨きを嫌がられたり、
入れ歯を洗おうとしたら怒りだしたり・・・
ちょっと、気難しいのです。

今日訪問して大きな声で話していると、介護士さんに
「車椅子の背中のポケットのホワイトボードで筆談するといいですよ。
 最近難聴がきつくなったようですから。」と言われました。

はいはい、では筆談で
「歯磨きをさせて下さい・・」
書くと、スムーズ。
しかし、時間が長くなると、イライラが伝わってきます。

その様子を察知した介護士さんが近づいて、ホワイトボードに
「もうちょっと頑張って」と書くと、
うなずいて表情が穏やかになったのです。
別の仕事をしながらも、しっかり目配りしている。
プロだからできるやさしさですね。
私にとっても、本当にありがたいです。
<あかね>の、茜色のケアです。

最近歯磨きに慣れてきて下さっていたので、油断していました。
筆談になると、この一言のタイミングが遅れます。

歯磨きをしながらの筆談は大変なので、
「必要な言葉をカードにしてこようかと思います」と言うと、
介護士さんに、次のようにたしなめられました。
「私もそうしたんですが、3日目には通用しなくなりました。
その都度書いてあげて下さいね。」

ドキッんとしました。
私たちの会話は、一瞬一瞬生まれ出てくる、そこに喜びがあるのですから
そのコミュニケーションををぶち壊すところでした。
介護士さんの一言がなければ、
かけがえのないケアの関係として成り立つ口腔ケアを、
単なる歯磨き屋として台無しにしてしまうところでした。
体に関するヒヤリハットは重要視されますが、
こころのヒヤリハットも同じだけ、いえ、体以上に気をつけないと、危ない!

自動販売機の「ありがとうございました」を最初聞いた時
「えっ?」と思いました。
二回目は「無愛想な人間よりいいじゃん」と感じました。
三回目は「はいはい、ありがとうですね。うっとしい、だまれ!」と
言い返したくなったことを思い出しました。
もうちょっとで私は自動販売機になるところでした。

こう考えると、この患者さんは気難しい人なのではなく、人間として真っ当なだけです。
私のありようが、患者さんの気分を逆なでしていたのだと反省!!

大変しっかりした方ですから、なぜ口腔ケアが大切か
わかりやすいパンフレットを作って持っていくことにしましょう。

桜

 

 

 

日々思うこと 40件のコメント

茜色のケアに助けられて・教えられ!

特養の<あかね>さんに、口腔ケアに行きました。

Hさんは、認知症で口腔ケアが最も難しい方です。
食事も拒否するほどですから、歯磨きなど受け入れてくれるはずはない。
ときには、歯ブラシを投げ飛ばしたり、
歯ブラシに噛みつきはなしてくれなかったり・・・
ですから、いつもは裏側がなかなか磨けない。

しかし、今日はスムース。
舌側も磨けました。

介護士さんがHさんに寄り添って、
やさしく声かけしてくれたからでしょうか!

「Hさん、奇麗にしてもらおなー」
「もうちょっと、もうちょっと、頑張ってー」
「口開けてくれてありがとう」
「奇麗になってるよー」

子どもを歯医者に連れてきたお母さんのようです。
子どもは最も信頼できるお母さんが励ましてくれると、
安心して頑張れます。
<甘やかされた子どもはそうはいきませんが>

私が「さすが、ありがとう」と介護士さんに言うと

介護士さんは
「すいません、私ここに入ったばかりで、何もわからないので・・・」

すいませんは、こちらのセリフです。
新人の介護士さんからは、やさしく、ゆったり、暖かい感じが伝わってみます。
やっぱり人柄だなー、知識と技術だけではいけない!

Hさん、ごめんなさいね。
次回から、心してケアさせていただきます。
と言っても、メッキではだめですから・・・
まだまだ就業が足りないけど、頑張ります!

椿1

そうそう、ホームページによると「あかね」とは・・・
「あかね」とは茜色を意味しており、空が茜色に染まり、
海も川も穏やかな空気に包まれる、あたたかさ・やすらぎをイメージして
名付けられました。

茜色のケアに助けられ、そして、茜色のケアを教えられました。

日々思うこと 51件のコメント