歯科衛生士徒然草 第四話

§第四段

私の名刺が今のスタイルに落ち着いたのは、かれこれ7年前のことになる。

最初に作った名刺は、ごくごく普通のものであった。それを使っていた当時は、名 刺交換の後の会話も常識的。ところが、イラストや似顔絵、キャッチコピーを入れたり、カラフルにするなどと一工夫させると、相手の反応が違うことを実感し た。印象の強いものを作れば作るほど、こちらのことをよく覚えていてくださるのである。一言コピーを入れたときには、そこから会話が広がり、大いに重宝し たものだ。

行政、学校、企業などに勤務する歯科衛生士はもちろんのこと、フリーランスや歯科衛生士会の役員をしている歯科衛生士も名刺を持っていると思う。
しか し、診療所に勤務している歯科衛生士の方々はどうだろうか。

持っている方にお会いすることもあるが、「私にはかんけいないわ」と思っていらっしゃる方も多 いのではなかろうか。
そう思っているあなた、一度自分の名刺を作ってみてはいかがだろうか?
とにかく気分がいいこと請け合い。「私は社会人なんだ」と自覚 できるし、名刺交換をすれば、相手からも認められている気がしてくるもの。研修会などに参加するなら、ネットワークを拡大させるための必須アイテムであ る。

そもそも、歯科衛生士という職業もサービス業と同様、ある程度”お得意さま獲得”に向けての努力が必要ではなかろうか。担当制を採っている歯科医院に勤 務しているのなら、初診時に「私が○○さんの担当することになりました歯科衛生士の××です」というあいさつと同時に名刺を手渡してみてはどうだろう。
裏 には”全力であなたの健口をお守りします””お気軽にご相談ください”などのメッセージがあれば、なおよろし。そこからコミュニケーションが深まり、信頼 関係の構築に役立つだろう。また、点字入りの名刺を作れば、それがきっかけで、目の不自由な患者さんが来院される可能性も広がる。

名刺という言葉を辞書で引くと、「小形の少し厚い紙に氏名、住所、勤務先、身分などを印刷したもの」をあるが、特に決まりがあるものではない。要は、自 分をアピールするもの、いかに作り、いかに使うかはあなた次第。そこから始まるものも多いのではないだろうか。