歯科衛生士徒然草 第三十三話

§第三十二段

「な・き・た・い・わ」――長い、嫌い、高い、痛い、わからない。

これは歯科医院に治療に来る、患者さんの気持ちだそうだ。

またえらく嫌われたものだが、こちらも患者として見知らぬ歯科医院の待合室で治療の順番を待つとなると、この気持ちはわからぬでもない。だが、やはり「それなら重症になる前に早く来いよ!」と思う。

患者さんは、本当にわがままである。「スリッパが気持ち悪い」、「女の子の白衣が汚い」、「電話の対応が悪い」、「待たせる」、「駐車場が狭い」などなど文句ばかり。おまけに、DHの若いお姉さんがいないとまで言う。いったいおまえたちは、何しに歯科医院に来ているのだ!

しかし、わがままなのは歯科医院のお客様だけではない。買い物に来るお客 さまも、本来わがままが多いそうだ。どうもお金を払う「お客さま」という人種は、皆そうであるらしい。とは言っても、こちらもいちいち苦情を聞いてもいら れない。と言って、このままというのも、なんだか情けない。

お客さんを相手にしている企業では、こんな方法をとっているそうだ。
とにかくお客さまの苦情をできるだけたくさんうかがい、上位の3つを全力で解決するよう努めるのだ。たった3つと思われるだろうが、この3つでお客さまの苦情の8割が解決できるのだそうだ。
たとえば、待ち時間解消のために、5分前に携帯に連絡するようにした美容院。喫茶コーナーをつくった医科医院もある。

これは歯科医院でもやってみる価値はある。「聞けぬ相談」もあるだろうが、案外改善できるものが多いと思う。「スピットンが汚れていて気持ち悪い」、「先生がマスクのまましゃべるので聞き取れない」、「受付の対応が感じ悪い」、「毎回いくらいるか不安」、「DHの髪がスケーリングのとき触れる」などなど。

ある歯科医院では、各種の治療内容と注意事項に金額まで示した小さなパンフレットを作成し、実施した治療に関するものを患者さんにお渡ししている。これは、患者さんの『わ』、「わからない」の解決方法として考えられたものだそうだ。

まずはあなたもアンケートをとり、あなたの歯科医院の苦情ワースト3を知ることから始めてみませんか。それは院長の仕事だと思われるかもしれませんが、私たちのお給料を持ってきてくださるのは患者様。まずは患者様のために!