歯科衛生士徒然草 第二十三話

§第二十三段

毎日同じように仕事を繰り返していると、突然これに襲われ参ってしまいます。「マンネリズム」ってやつです。

「一期一会」だとか「日々是好日」と言われても、体はだる~くて気分も最低。1万5千円奮発して歯周病セミナーにでも行ってみようかと思いましたが、東京や大阪では運賃もバカにならない。

そんな時、友だちDHから「うちの診療室に遊びにおいで」のコール。天の助けと思い、さっそく手土産持参で出かけた。どこも似たり寄ったり、何の変哲もない診療所だ、と思ったのは間違い。おもしろい発見がたくさんあった。

バースタンドに並んだラバーチップ、コントラ用歯間ブラシや薬瓶は初めてお目にかかる ものだった。お手製研磨剤の処方も伝授してもらった。プロケア(ヤングデンタル/パウダー状の歯面研磨剤)とホームジェルを混ぜ、毎日味を変えられるの だ。プロービングチャートにも感心した。4点法で数字を記入するだけではなく、1~2mmは青、3~4mmは黄、5mm以上は赤のマーカーで信号のように 色分けし、一目で状況を把握できるようにしてあるのだ。これだと患者さんにも理解しやすい。

チーフDHさ んが患者さんに指導している声が壁の向こうから聞こえてきた。「歯ぐきは女の子なのよ、だから優しく磨いてあげないとダメ」。思わず、そうか、じゃあ歯は 男の子だよね~と言いたくなった。「糸ようじの使い方教えて」という若い女性には、「これはオシャレの最先端なんよ、さすが~」。力任せに歯を磨いている 方には手のひらを差し出し、「ちょっと私の手をこそばしてみて、そうそう、その感じ、歯と歯の間に毛先を当ててコチョコチョだよ。ゴシゴシはだめ」。

こんなふうに、相手に合わせて手替え品替え、さすが亀の甲より年の功、お見事の一言。キュレットのスマートな使いこなし、チャーミングなブラッシング指導など、還暦に近いDHさんが第一線で活躍している姿を見て感動しました。私もあと20年は、この仕事を続けるぞ~!

帰り道、私のマンネリ病はどこかに姿を消していました。今度はお返しにどなたかDHをお招きしようと考えていますが、院長が何と申しますか…。