歯科衛生士徒然草 第十六話

§第十六段

訪問口腔衛生指導や老人ホーム、老人会での講演など、私はさまざまな場所で大勢の高齢者に出会う。60~70歳で特別な病気もなく元気のない方、 80~90歳で何らかの疾患を持っていても生き生きしている方。8020達成者でも重度痴呆の方がおられる一方、80歳で入れ歯なしでも元気はつらつ一人 暮らしをしておられる方・・・。思わず「どうなってるの?筋書きとは違うじゃない!」と言いたくなる現実だ。病気でない8020の方には元気でいてもらわ なければ、歯科医師会をはじめ歯科医療従事者は困ってしまうのだが?

一体、人の「元気の素」って何だろうか。最近私が感じるのは、派炉チン・フェロモン・エンドロフィンの関連性。まずパロチン。これは、唾液の中に含まれ る若返りホルモン。唾液のパワーは周知の事実でもあり、歯科衛生士は何とかコレがしっかり分泌するようお手伝いをして差し上げたい。しかし、いちばん効果 があるのは、意外にも腹ペコ状態で大好物を楽しく味わっていただくこと。唾液腺マッサージや舌体験、歯磨きなども効果的ではあるが、生理現象には遠く及ば ず。「空腹は最高のオードブル」なのである。

つぎにフェロモン。おじいちゃん(男性)にはおばあちゃん(女性)、女性には男性、オカマさんには男性・・・と、フェロモン分泌が活発になるコミュニ ケーションの場を提供すると、皆さん俄然元気になる。もちろん、同性のお友達だってOK! 人は人と関わって元気になることを忘れるべからず。在宅ケアの 仕事を振り返ってみると、療養者の方々が元気になっていくのは口腔ケアをしたからというより、会話や触れ合いなどのコミュニケーションによる効果の方が大 きい気がするのは、私だけだろうか。

そして、エンドロフィンは脳内麻薬の異名を持つ「ハイになる」物質。マラソンで、パチンコでと、さまざまな形で分泌しているが、ポジティブな思考をする ことでも分泌される。動けない方でも生き甲斐を感じることをやれb、エンドロフィンが分泌される。もし、あなたが関わっている療養者が「生き甲斐を感じる こと」をお持ちでなければ、訪問時に一緒に探してあげてみてはいかが?

この「元気の素」ともいえる物質、あなたは毎日どれくらい分泌していますか?