§第二十八段
最近、“少子高齢化社会の対策”とかで、子育てボランティア養成という誠にありがたい支援事業が実施されている。時々その場に招かれ、育歯や食生活についてお話しするのだが、少し気になることがある。
それは、少子化対策は子育ての大変さの解消だと世の中全体がとらえ、大人の都合が優先した形となっていることだ。確かに、働く女性の増加や核家族化という少子化の根本的な原因は大人の都合にあるが、本当は子どもの気持ちが最優先されるべきではないかと思う。
子どもが望むいちばんの支援は、何をおいても常に母親と共に過ごし、その愛を体いっぱい受けることであろう。実の母親をわざわざ遠ざけるような支援では、大変迷惑な支援ということになる。
そうは言っても、仕事をしながら子育てをするのは大変なことである。知人 の医師の方は、母乳育児をするために1日に何度も保育園へ通った。当然、保母さんは歓迎しない。私の妹は、年子で出産したため、産休と育児休暇あわせて3 年間とり再び職場復帰を果たした。これも当然、風当たりはよくない。
私には以前、専業主婦で社宅に住んでいた時、お手伝いさんを雇っていたことで周りからかなりのひんしゅくをかってしまった経験がある。家事が山積みの中での育児は、精神的なストレスを招き、かわいい子どもにその矛先が向いてしまう。
だから子どもを保育所に通わせるより、私は子どもとゆったり過ごす時間を持つためにお手伝いさんに来てもらい、週3回、1日2時間で家事を手伝ってもらうことを選んだ。今でもこの選択は決して間違っていなかったと思っている。
子育てという、このもっとも根源的な営みが快くなされていない社会のありさまは、おかしいと思う。「しかし、そんなことを言っても…」と言い訳をする会社は、そのうち崩壊する気がする。
歯科医院とて同じ。勤務するDHの子どもの幸せを考えられなくて、多くの患者さんの幸せを考えられようか。
子育て支援のあるべき姿は、社会全体が、生み育てる母親を尊び、励まし、「愛子さま」を待ち望んだように生まれ来る子どもを心から暖かく迎え、見守り育てる風潮をつくることだと私は考える。
その気持ちがなければ、いかなる子育て支援も、赤ちゃんとお母さんの心の奥には届かない。


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